第16話 ヘルメット

 私の身に起こった悲劇を聞いて下さい。


 ある日、髪を切りたいと梅ちゃんに言ったら

 散髪代を払うのが嫌だったようで

「わぁ(私)が、切ってやる」

 と言い出しました。


『大丈夫だろうか……?』

 不安でいっぱいでしたが

 玄関先でチョキチョキしてもらいます。


「う~ん」

 と、渋い顔で私の髪と悪戦苦闘中の梅ちゃん。


 そのうちに梅ちゃんの顔が

 ニヤニヤし始めました。


『あっ、悪い予感しかない』

 と鏡をみると

 そこには、ぱっつん髪のわらべが……


 あぁ

 明日、学校でみんなに笑われる


 と泣きたくなりましたが

 切った髪は戻りません。


 ズンと重い気持ちのまま学校へ行くと

 みんなが、特に男子が集まってきました。


「お前の頭、ヘルメットみたいだなぁ~」


 こうしてついたあだ名が「ヘルメット」


 梅ちゃん美容院は

 すぐに閉業致しました。



 



   


 

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