第14話 透ける父

 本日は、不思議な話です。

 

 お盆の帰省で、田舎に泊まった朝のこと。

 居間で、庭を見ている父の姿が

 すぅーっと消えていきました。


 父が消え、庭の花がハッキリ見えてきたのです。


 一体何が起こったのか

 私には理解できませんでした。


 ただ、その場にいることができなくて

 「缶コーヒー買いに行って来る」

 と、逃げるように外に出たのです。


 何を見た?

 何を見た?

 何を見た?


 人は死期が近づくと

 影が薄くなると言うけれど

 まさか……?


 その頃、父は腎臓の薬を飲んでいました。

 

 大した病気ではなかったはずでした。


 でも……

 10月にすい臓癌末期で入院。

 翌年、1月帰らぬ人となりました。


 人には『第六感』という不思議な力が内在しているのかもしれません。

 それが、いつどのような形で現れるのかはわかりませんが……

 

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