第2話:謀略・エレオノール視点
「エレオノールお嬢様、夫人から午後にお茶会の誘いでございます。
どのように返事をさせていただけばよろしいでしょうか」
昨日の今日でこのお誘いですか。
母上が私の暗殺に加担しているとは思いたくないですが、可能性が全くないとは言えませんからね、用心しておいた方がいいでしょう。
「母上には先約があるからご辞退させていただくと使者を送っておいて。
ガブリエル、傭兵ギルドと冒険者ギルド、それに商業ギルドに行くわ。
馬車と護衛の準備をしてください」
「はい」
父上はボンボン育ちで全く役に立たないから放置ね。
あの人は愛人の上で踊っていてくれればいいわ。
問題は母上ね、今まで同じ女のよしみで放置していたけれど、ディアーヌの方に味方するというのなら、素行を調べて叩かないといけないわね。
もちろんディアーヌもね。
★★★★★★
「ギルドマスター、信頼できる腕の立つ女傭兵を雇いたいわ。
私には心から信頼できるガブリエルがいるけれど、流石に一人では厳しいの。
盾になる者、剣になる者、耳や鼻になってくれる者を雇いたいの」
「契約を護って命を賭けるような傭兵は高価になりますが、よろしいのですか。
単に数を集めて相手を威圧する方法もございます。
優秀な傭兵を常雇いするのは効率的ではない事もございます」
傭兵ギルドのマスターが言う通りです。
戦況が不利になったら平気で雇い主を置いて逃げるような奴、大金をちらつかされたら平気で雇い主を裏切る奴、そんな傭兵はとても安いのです。
ですが、死ぬことも契約のうちだという信念を持った傭兵はとても貴重で、貴重だからこそ契約金がとても高額になるのです。
「分かっています、それでも信頼できる傭兵が欲しいのよ。
いないのなら仕方がないですが、いるなら全員雇いたいわ、ドミニク」
「はい、エレオノールお嬢様」
ドン、ドン、ドン、ドン
「金貨四〇〇〇枚よ、これが傭兵ギルドに渡す前金よ。
この後で冒険者ギルドにも行くわ。
冒険者ギルドにも同じ金貨四〇〇〇枚を前金で渡すわ。
プランプター公爵家の令嬢に勧められる傭兵がいないのならそう言って。
もしマスターが勧めた傭兵が問題を起こして私が殺されるような事があれば、傭兵ギルドの信用は地に落ちるわ。
もう誰も傭兵ギルドを信用しなくなるでしょう。
その覚悟で私に紹介する傭兵を選んでちょうだい」
「……分かりました、性根を入れて選ばせていただきます。
だからとりあえずこの金貨はお持ち帰りください。
傭兵ギルドの命運をかけて紹介できる傭兵が決まりましたら、金貨一万枚の傭兵であろうとお勧めさせていただきます」
「愉しみにしていますわ、マスター」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます