第19話 2人目

 城を出た後、村に行き亀の後処理をして、素材をなんとかパラキシアへ運んで精算せいさんした。


「いやぁ、もうかかった。苦労した甲斐かいがあったわ」


 値段は驚異きょういの200万ギル。素材が希少きしょうな上とんでもない大きさだったからだ。


「移動、宿、お金、レベリングのための魔物全部揃そろってるとか、この国最高すぎだろ…」


 しばらくはこの国にいようと決意した。


 それから2日…


「トウジ、今日も昼出かけるよ」


 こんな感じでカルミアは毎日昼の外出を誘ってくる。少しずつ時間を増やして昼に慣れさせようとしてくれているのはわかってるし、


「それはいいんだけど…」


 少しではあるけど昼動いて、夜レベリングは結構ハードなんだよな…


「昼に慣れてた方が今後のためにもなるでしょ。さ、早く着替えて。外で待ってるから」


 *

 夜、レベリング中


 魔獣大戦争まじゅうだいせんそうやら亀戦を経て、冬志のレベルは格段に上がった。現在、冬志は66、カルミアは60だ。


 力がつき、ここら辺の魔物の動きにも慣れ始めた。


 しかし、


「やっぱ、数が多いよなぁ」


 あの女の時も、魔獣大戦争の時も、一部に寄ってきていたとはいえとんでもない数だった。


「通常でも相当な数だぞ…」


「魔王の城から近いからかな」


「そうか?それにしても多くない?ヘリコニアの3、4倍くらいいない?」


「うーん、どうなんだろう」


「そりゃあ、僕がいるからに決まってんじゃん」


 不意に後ろから男の声が聞こえた。


 緑色の短髪、背丈は175cmといったところか。


 いつ、近づかれた?広野、隠れるところはない。それに、周りの生き物の反応はカルミアのネックレスでわかるはず。そのカルミアさえも驚いている。


 明らかに危険な感じがする。すぐさま身構えると、


「そんなに身構えなくてもいいよ。僕が近づいても気づかないのは当たり前だから」


「…誰ですか」


「そんなの、決まってるでしょ」


 ニヤッと笑い、


「魔王様の使い、だよ」

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