第13話 移動回 ガルチ村へ

 王様が宿の前に馬車を用意してくれていたのと、さいわい道中に魔物が出なかったおかげで、夕方に飛び出して2時間ほどで村に着いた。


「こんな時間に到着か…1週間も一体何をしていた?!」


「ごめん、熱中症で倒れてた」


「トウジは昼が苦手なの。私が無理言って連れ出したから…」


「君は悪くないよ。体調管理は自分の仕事だ」


 イラつくが、言い返せない。


「…はぁ。とりあえず。この村付近の魔物はある程度倒していったら大人しくなった。もう時間もないし、二手に分かれる。君はここから東に進んだあるガルチ村にいけ。僕は西の村にいく」


「…了解」


「カルミアさん、僕と一緒に来ないか?僕なら君を守ってあげられる」


「あはは、大丈夫です。み上がりのトウジを守ってあげないといけないので」


 カルミアがそう言い放つと、遼馬りょうまがこちらをにらみ、小さく舌打ちした。


「じゃあ、行こう」


 *


 道中魔物と2度戦闘になったが、ガルチ村には1時間ほどでついた。


「おぉ、やっと来てくだされた勇者殿、どうぞこちらへ」


 村の門の前にいた門番に、手紙に入っていた手形を見せると、村の中でも一際ひときわ大きい家に案内された。


 そこで、村長に村の状況を聞き、


「わかりました。急いでなんとかします」


 そう言い、村から出る。


「さぁ、1週間でなまった体を鍛えるぞ…ん?」


 森の方で何か赤い点が光った。森を10mほど埋め尽くしている。


「あー、えっと、どうする?カルミア」


「…やるしかないでしょう。引くわけにはいかないんだから」


「まあ、俺も引くつもりはないけどさ」


 赤い点はぞろぞろと勢いよく襲いかかってきた。元の世界では、イノシシや、象、オオカミなどに似ている。


「カルミア、魔物呼んで!」


「わかった!」


 まずい。多すぎる。


 逡巡しゅんじゅんしていると、魔物の数が半分ほどに減った。カルミアが遠くに飛ばしてくれたのだ。


「助かる、ありがとう」


 そして、こちらの準備が整った。


「最近、助けられてばっかだな。」


 つぶやき、一斉いっせいに魔物へと向かっていった。

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