第6話 戦闘風景描いてみた

「おい、この前『夜中の悪魔をぶっ飛ばしてくる』って言ってた二人組、次の日から様子おかしくないか?」


「だよな。なんかぶつぶつ独り言言ってるかと思えば、急に許してくれだとか、本物の悪魔だとか…一体何があったんだ」


「やっぱり夜中の悪魔の噂は本当だったのか…」



 少しまずい状況になりました。いつも通り森にレベル上げに行くと、熊の群れに出くわしました。5頭位います。熊って群れるんだ。なんて悠長ゆうちょうなことを考えてる場合じゃないです。皆殺意をただよわせてます。狩りすぎたせいかもしれない。


「…どうする?これ。逃げたら殺されそうじゃない?熊の群れとか本気でシャレにならないんだけど」


「倒すしかないないでしょう。…勝てる?」


「どうだろう。多分いけるけど…一応魔物全員召喚して」


 カルミアがうなずき、詠唱を始める。2秒後、彼女を中心に赤く光り始め、続々と魔物達が現れる。総勢60体。新しくゴブリンと熊が増え、10体編成に1体ずつ加えている。


「2部隊に分けて一体ずつの距離を離しながら狩っていけ。俺とカルミアで2体相手してるから、倒したとこから応戦に来てくれ」


 作戦を伝えると、3つの部隊に分かれ、三 方に散らばっていった。熊が一頭ずつ追いかけていく。


 残った2頭がこちらをにらんでいる。上手くいった。どこかに固まりで追いかけられるのが唯一の負け筋だった。


 剣を構え、まずは右の熊に向かって走る。


 *


 男がこちらに向かって来る。迎撃げいげきすべく突進する。両者がぶつかる直前、男の姿が消える。


 驚き、動きが止まる。瞬間、背中に激痛が走る。反射的に背後を殴りつけるが、当たらない。確認すると、いつの間に移動したのか5mほどの距離をとっている。


「ナイスアシスト、カルミア」


「ないす、トウジ」


 怒り、男に向かって走る。しかし今度は横にかわされ、振り向いた瞬間を狙われ両目を切りつけられた。激痛と目の前が真っ暗になったことに驚き、暴れ始める。


「痛いだろ。すぐ楽にしてやるから」


 そう聞こえた瞬間、後ろから首を切られ、意識がなくなった。


 *


「あと1頭。今度は援護なしで」


「了解」


 今まで呆然と見ていたもう1頭が正気に返ったのか、こちらに向かって走って来る。もう一度横にかわす。同じように目を切ろうとすると、腕を盾に防がれた。


「まじか、対処早くね」


 一度距離をとり、今度はこちらから向かっていく。熊は両手を広げて威嚇いかくしてくる。腕を振ってくる瞬間後ろに跳び、躱す。空振り体制を崩したすきを狙い、首を切る。一撃で首が飛んだ。


「ふう、なんとか倒せた。他のところは…まあ大丈夫だろう。解体しとこう」


「そうね。」


しばらくすると、続々と魔物部隊が戻ってくる。一番早かったのは、ウル太郎の仕切る第一部隊だった。ウル太郎が本当に優秀過ぎる。戦闘能力も部隊を率いる力も備わっている。今後主力になるだろう戦力の一体だ。


「あと皆が持って帰ってきた熊を解体して帰るか」



 日が昇り初める頃、街に戻ってきた。もはや習慣になっているギルドに熊の素材を持っていくと、


「ず、随分遅かったな」


 なにやら重そうなよろいを着ている男に話しかけられた。


「お前が先に召喚された、マミヤトウジか」

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