第2話 金欠なのでクエスト受けてみた
「...疲れた」
宿屋を訪ねて3軒め。全て満室だった。日が暮れている。日頃ほとんど動いてなかったことに加え、押し続けているゲーミングチェアが地味に体力を削っていく。どこかに置いて行こうか。
次の宿屋に着いた。
「あの、部屋って空いてますか?」
「空いていますよ。何日間宿泊しますか?」
「あ、1日いくらですかね」j
「7000ギルです」
ギルというのはこの世界のお金だ。ここに来るまでに店に寄って物価を見てみたが、日本円と大体同じようだ。
そんな世界で王様に渡された金額は2万ギル。正直少しだけ、滅んでしまえと思わなくも無かったが...
「仕方ない。今日の夜はギルドに行ってみるのと、魔物のテイムを試す。あとは金策か。大仕事だな。」
部屋を2日分頼み、ゲーミングチェアを宿に置き、暗くなってきたのでギルドに足を運ぶ。夜もギルドは開いているか心配だったが、ギルドは24時間営業らしい。お疲れ様です。ギルドの中に入り、受付に行くが…
「どうかしましたか?」
「あっ、その、今受付てるクエストとかありますか」
受付嬢を前に挙動不審になってしまった。これでもまだマシに文字に起こした方だ。はたして言語として伝わっただろうか。
「えっと...あっ、クエストですか?」
伝わった。この人は将来いい受付嬢になるだろう。勢いよく首を縦に振る。
「現在受付中のクエストはあちらの看板を見ていただくとわかりますよ。受けたいクエストの紙をこちらまで持って来てもらえばクエスト受注が完了します。この作業をしないと、報酬が受け取れないのでご注意ください」
「あっはい。大丈夫です。ありがとうございます」
焦ってよくわからない返答をしてしまった気がする。気を取り直して、看板へ向かう。左から難易度順に分かれているようだ。左2列はペット探しのような国内のクエストで、他は国外でのクエストのようだ。(ちなみに文字はこの世界の特有のものだが、読めるようになっている。やったね)
俺はその中から『薬草10本納品』というものを選んで受付に渡した。報酬は1本につき200ギル。完全達成でプラス500ギル。つまり2500ギル。...まあ、しょうがないか
「はい、クエスト受注を完了しました。...今から行くんですか?夜は昼より強いモンスターが多いので、お気をつけてくださいね」
...まあ、なんとなくわかってたけどやっぱりそうなのか。そういえば、武器どうしよう。護身用もなく外に行くのは流石に怖いな…お金も無いし。あ、そうだ。
*
「さて、武器も調達したし、いよいよクエスト開始か。結構時間かかったな」
そう言い、片手でゲーミングチェアを転がしながら歩いた。
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