美しい黒の中にある温かさ

この作品からまず感じることは深い、深い闇。突如失踪した父子とそれを待つ女性の描写はとてもリアルなヒステリックを描写しており、非常に興味がそそられるものとなっている。

そして、次に出てくるのが主人公たち家族の物語。早くに子供を授かり、まさに波乱万丈と言えるであろう生活を営んできた主人公一家。美晴さんという母と死別してしまっても、4人の子供と1人の父という家族の中には確かな絆を見ることができ、悲しい過去に負けない温かさを感じることができる。

地の文や会話文もとてもリアリティが光る作品であり、暗い闇が大好物な方にはぜひともご一読いただきたい作品です。