冬のオレンジ

僕は、

バイト終わりのスーパーで、

偶然、憧れの先輩に会った。

(これは告るチャンスかも…)


僕は、

ときめきがバレないように、

彼女と一緒に店内を回った。

(なんだか同棲してるみたい…)


彼女は、

フルーツ売場で立ち止まる。

オレンジ特売50円。

しかし、残りは、あとひとつ。

(わぁー横顔めっちゃ坂系っ!)


彼女は、

オレンジを手に取り、

残念そうにじーっと見つめる。

(いまチャンス?行けチャーンス!)


僕は、

男らしさをふりしぼって告白した。

「おれんち…に来…ないか?」


彼女はつぶやいた。

「オレンジ…二個…ないか」


彼女は、

オレンジの香りをかいで

かごに入れた。


僕は、

天井を見つめて

消え入る声でつぶやいた。


「二個…いるんだ」


あれっ⁉

急な悪寒…


フルーツ売場は寒キツ系。

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