青い青い青い青い

エリー.ファー

青い青い青い青い

 総じて闇に包まれる。

 阿保の子供のくせに嘘ばかりつく。

 上等ではないか、阿保でも。好きなのだから致し方ないというものだ。

 おおよその見当はついている。嫉妬しているのだ、その多くは、大人が子供に教えた一つの手段であり、道のりだ。長く長く歩いていくためには、何かしらの燃料が必須となる。使いこなすためには、飛び立つためには、いくつか必要となる。

 嫉妬は、その燃料になるのか。

 子供は考える。

 差別的で、純粋で、混じりけのない才能で、ただひたすら考えつくす。

 挨拶をしないようにして、社会との付き合い方を覚えて、ミミズのように這いつくばりながら太陽と自分の位置を計算する。うずくまることなかれ、ふみつぶされる。うずくまることなかれ、合わせ鏡ではない。うずくまることなかれ、完全でなければならない。

 書き直すな、そこに君がいる。

 書き直してしまえ、そこに必要な君はいない。

 書いてしまえ、失うものが何かあったか。

 あえて、差し出せ。

 最後は何もかも手にしてしまえ。

 欲張らない人生に、何か魅力があるか。欲張っているものの足を引っ張らない人生に、何か魅力があるか。誰かの不幸を見て喜ばない、そんな人生に、何か魅力があるのか。

 みんな他人の失敗が大好きだ。

 浮ついた表情で見つめては、笑うのだ。

 笑われる本人には、もはやそれが何の意味合いを持っているのかなど伺い知ることはできない。

 それは、天使の微笑みか。

 それとも、悪魔の嘲笑か。

 問うことなかれ、疑うことなかれ、その言葉を疑う者であれ。

 子供が大人になるまでの時間に、どれだけの距離があったとしても平気で歩けてしまうのは、その先に夢を見続けられるのは、叶えられないと思っているからだ。気が付けば、山を越えている。気が付けば、雨に降られて、雪が肩に積もって、雷がその身に落ちても、体が覚えてしまって歩かずにはいられない。

 右足、左足。右足、左足。

 人生はマーチだ。笑顔を張り付けて周りにアピールしなければやっていられない。



 お疲れ様でした。

 いやぁ、素晴らしかった。

 あなたの詩は非常に反響が良くてですね。ぜひ、明日も、その次も、そのまた次もよろしくお願いいたしますよ。

 ところで、何も見ずに自作の詩を口にしていましたが、頭に入っているのですか。

 ほう、入っていない。ということは、手か何かに書いているということですか。

 はあ、そうではない。

 え。即興なのですか。はぁ、そうなんですか。

 いやあ、詩人を名乗る方っていうのは、皆さんそんなことができるんですねぇ。当たり前と言えば当たり前なのかもしれませんが、やはり、言葉を生業にする方というのは特殊ですなあ。

 ところで、今からどこに。いやいや、どうせなら夜が明けるまで飲みませんかと思いましてね。良い酒を用意しましたよ。

 え、結構ですか。そうですか、それはそれは残念ですな。

 この後どこかに行かれるのですか。用事でも。

 あ、そうですか。それは仕方ない。では、また機会がありましたら。



「あの詩人。怪しいよ。こんなクラブにずっといていい人間じゃない。何か凄みがある。何か狙ってるぞ。ここのクラブの何かを狙ってる。いや、もしかしたら、どこか狙いは別にあって、ここで時間を潰しているだけかもしれない」

「本当ですか。そうは見えませんが」

「気をつけろ、。一応、見張っておけ」

「オーケー、ボス」

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