旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

第395話信用出来ますかね

私（村上義清）「信長からすれば『長政の迷惑にならないようにするから越前に入らせてくれ。けっして悪いようにしないから。』と言った事になるのかな？」

真田幸隆「仮に首尾よく朝倉を打倒する事が出来。かつ長政が厚遇され続けられたとしても懸念材料は残りますね。」

私（村上義清）「関係性でがんじがらめにしても目的のためなら手段を選ばないわけだからな……。似たような奴居たような……。」

真田幸隆「御館様（武田晴信）の事ですか？確かに御館様は殿と諏訪との約束を反故にして志賀城。更には尼ヶ淵にまで進出して来ましたが。これにつきましては御館様の意向は勿論無いわけではありませんでしたが、それ以上に家臣からの突き上げが大きかった事を記憶しています。」

私（村上義清）「対外進出を止めることが即信虎と同じ憂き目に遭う事も意味していたか……。」

真田幸隆「どちらかと言えば今の長政に近かったかもしれません。」

私（村上義清）「しかし長政は強大な敵（六角）に立ち向かっていったのだぞ。」

真田幸隆「御館様が勝てる相手を選んでいた事は否定しませんが、それ（驕り）があったから今の我らがあるのであります。ただどうします殿？」

私（村上義清）「何の事だ？」

真田幸隆「うちと信長の関係であります。」

私（村上義清）「攻め込んで来るのであれば戦うしかない。ただそうなっては、軍事物資を直接買い付ける事が出来ないうちが持たない事は承知している。」

真田幸隆「かと言いまして傘下に収まるのは？」

私（村上義清）「面白くない。そうならないようにするための家康との関係であるし、うちと信長の関係である。とにかく信長の利権。家康の利権の邪魔をしない。こちらとの関係を続ける事が少なくとも損にはならない事を示し続ける事。勿論、攻め込まれたら無傷では済まない事も知らしめる必要はある。ただ難しい選択を迫られる事になるのは、信長と越後がいくさになった時……。」

真田幸隆「経済的にも軍事的にも全てを賄っていると言っても過言では無い越後との関係と、いくさの場となる範囲が大きい織田、徳川との関係。どちらを優先するか？であります。」

私（村上義清）「考えたくないな……。」

真田幸隆「今回の浅井とは異なる事象があります。それは攻め込まれる方角が１つでは無い事であります。浅井領の西は海であります。一方、うちの東側には武田が居ます。その背後には今川と北条が居ます。仮にうちが上杉方を選択した場合、彼らは確実に信長と手を結び信濃に兵を入れる事になります。」

私（村上義清）「織田方についたら？」

真田幸隆「まず麻織物産業が壊滅します。加えて軍事物資の供給路が断たれる事にもなります。経済力軍事力を失った我らは、大国（信長）の意向に翻弄される事になります。」

私（村上義清）「ごめん。お前の考えを聞かせて？」

真田幸隆「信長と輝虎が激突するには、まだ距離が離れています。北陸のどこで問題が発生するのか？それ見てからになると思います。その場所が越前であるのなら上杉方で良いと思います。逆に越中の東部であったのなら……。」

私（村上義清）「越中だったら？」

真田幸隆「越後を内部から崩壊させ、信長より先に春日山を制する。それしか生き残る道はありません。」