前のエピソード――第276話規模

武節城。

春日虎綱「そうですか。真田様は二番手に四郎を使いたいとのお考えでありますか。」

私（村上義清）「そなたはどう思う？」

春日虎綱「少なくとも殿の成果を台無しにすることは無いと思います。ただ三番手の出番が無くなる可能性はあります。」

私（村上義清）「そこで決着をつけることが出来ると？」

春日虎綱「四郎が信長本隊を（信長の家臣が囲っている）岩村城へ誘導しない。もしくは攻略に手間取り、岩村城からの部隊が合流しない限りほぼ決着をつけることが出来ると思います。」

私（村上義清）「そうなると三番手は？」

春日虎綱「……で良いと思います。ただ状況によっては三番手と四番手を入れ替えることが出来るようにしておいたほうが無難かと思われます。」

私（村上義清）「わかった。」

春日虎綱「（一番手の）殿は信長の家臣が信長の本隊への合流を妨害する動きをしてください。」

私（村上義清）「えっ！？俺突き抜けたばっかだよね。」

春日虎綱「そうでしたね。真田様から（幸隆の長男の）信綱様を借りたほうが宜しいかもしれませんね。」

私（村上義清）「わかった。頼んでおく。」

春日虎綱「しかしそれは殿を楽にさせるためではありませんからね。四郎を助けるためでありますからね。そこは勘違いしないでください。」

私（村上義清）「多分同じことを幸隆にも言われると思う……。」

　深志城。

真田幸隆「私にとりまして殿は殿でありますので、命令でありましたらうちの息子を使うことを拒否することは出来ません。出来ませんが、わかってますよね。あとで本人に確認しますよ。どのような扱いを受けたかを。その答え如何によってはわかっていますよね！」

私（村上義清）「（軍目付ぐらいにしか使えないじゃん……。）」

　武節城。

私（村上義清）「そうなると四郎には『岩村城のほうでは無く、三番手。明知城側へ信長を追いやりながら可能であれば部隊を殲滅させることに専念すれば良い。』と伝えておく。」

春日虎綱「はい。」

私（村上義清）「あと何か言付けはあるか？」

春日虎綱「そうですね。たぶんこの状況になっているかな……？それでしたら四郎には『思う存分やって来い！』と。」

　村上義清が突き抜けた信長本隊に襲い掛かるは高遠勝頼。もはや種子島や弓矢で脅す必要が無いことを確認した勝頼は、自らの旗本を率い信長本隊に突撃。義清の段階で既に混乱していた信長の供回りを明知城側に向け追い立てた勝頼は、頃合いは善しとばかりに敵を馬から落とすや自らも馬を降り、組打ちを挑み討ち取るなど大戦果をあげながら、その役目を三番手に引き継いだのでありました。