旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

第278話大将たるもの

　高遠勝頼の活躍により、もはや組織とは言えない状況に追い込まれた信長本隊。その彼らの目の前に現れたのが村上国清。ただ彼の隊形は村上義清や高遠勝頼とは異なり、先頭に旗持隊を配備。そのまま敵の部隊に近づき、頃合いを見計らったところで旗持隊が左右に開いたところで後ろに隠れていた種子島隊と弓隊が遠隔攻撃。敵が怯んだところを後ろから長槍隊が前に押し出し更に敵を混乱させている間に騎馬隊が機動力を活かし敵の左右後方に回り込み敵を確実に殲滅すると言うもの。

私（村上義清）「圧倒的に自軍が有利で無いと出来ない隊形ではあるよな。」

真田幸隆「そのための四郎であります。」

私（村上義清）「もし俺や四郎が失敗した場合はどうするのだ？」

真田幸隆「そのことも想定しまして……。」

　この一連の流れの中で村上国清と供回りは常に後方で待機。状況に応じて加勢することも念頭に置いてはいますが、本来の目的はいつでも逃げることが出来るようにすること。

私（村上義清）「どちらかと言うと守る時の隊形だな？」

真田幸隆「そうですね。有利な場所に陣取ることが大前提になります。」

私（村上義清）「俺や四郎には不向きな戦術だな。」

真田幸隆「大将たるもの自らが敵陣に突っ込むものではありませぬ。」

私（村上義清）「俺のこと言ってる？」

真田幸隆「殿は所詮鉄砲玉でありますので問題ありませぬ。」

私（村上義清）「（私は）この家の当主です。」

真田幸隆「大丈夫です。殿は今川義元とは違います。殿の首が晒されようと我らが歩みを止めることはありません。殿の大望を最優先に進軍するのみであります。」

私（村上義清）「（ありがとう……。）しかしそうなると四郎もこの隊形を覚えてもらったほうが良いかもしれないな。」

真田幸隆「そうですね。武田と諏訪の血を受け継ぎ、うちが乗っ取った高遠の家に入った身。常に結果を出さなければならない意識が強くなってしまうのは仕方のないことではありますからね。無事生きて戻ることが出来るように。それも四郎に手柄を立てることが出来るようにするためにも一番手の殿の役目は重要であります。」

私（村上義清）「国清はどうしようか？」

村上義清「国清様につきましては……。」

　高遠勝頼の活躍もあり、旗持隊を動かす必要も無くなった村上国清。四番手に控えていた保科正俊を岩村城から向かって来る織田家臣隊との戦いに回す村上国清。そこへ織田家臣の部隊を一通りかき乱した村上義清が合流。

私（村上義清）「信長を見つけることが出来たか？……わかった。俺と四郎は明知城の攻略に向かう。お前（国清）と保科は戦闘が落ち着き次第先に伝えた段取りを実行するように。」

村上国清「わかりました。」

　その頃、武節城近郊の間道を進む人物を呼び止める声が……。