旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

第201話義信の母

真田幸隆「そこで２つ目。上杉輝虎を越中から離れることが出来ないようにすることであります。」

私（村上義清）「しかしうまくいかなかっただろ？」

真田幸隆「はい。神保長職に椎名を攻めるよう働き掛けることは今後出来ないと思われます。」

私（村上義清）「そうだよな。」

真田幸隆「殿。」

私（村上義清）「どうした？」

真田幸隆「少し気になりませんか？」

私（村上義清）「何がだ？」

真田幸隆「神保の背後に必ず一向宗がついていることであります。」

私（村上義清）「長職と一向宗の版図が被っていること。あとこれは想像の域を出ないことではあるが、一向宗の権益を長職が認めているからでは無いのか？」

真田幸隆「勿論それもあります。ただそれだけでしたら長職の版図の拡大に手を貸すことは無いと思いませんか？椎名の背後に、長職ではどうすることも出来ない上杉輝虎が控えていることがわかっているのでありますから。」

私（村上義清）「そうだな。」

真田幸隆「仮に椎名が輝虎と組んで長職の版図を侵食。並びに一向宗を忌避しているでありましたら『法難』とばかりに動くかもしれませんが、椎名にせよ輝虎にせよそこまでは考えておりません。」

私（村上義清）「長職同様。一向宗にも手を回している人物がいる？」

真田幸隆「はい。」

私（村上義清）「それが武田義信である。と……。」

真田幸隆「はい。」

私（村上義清）「しかし両者を繋げるものがいまいち見えて来ないのであるが……。」

真田幸隆「殿。義信の母が誰かご存知ですよね？」

私（村上義清）「三条家の娘だろ。」

真田幸隆「はい。その姉妹が誰であるか……。」

私（村上義清）「ん！？」

真田幸隆「一人は管領細川晴元の正室。そしてもう一人が本願寺１１世顕如の室であります。」

私（村上義清）「その伝手かい……。」

真田幸隆「はい。」

私（村上義清）「息子のために自分の使える全ての伝手を駆使して版図の拡大の手助けをしている。」

真田幸隆「その中で最も大きな障壁となっているのが上杉輝虎。本来であれば、武で以て取り除きたいところではありますが、如何せん輝虎は強い。義信単独はおろか氏康と手を組んでも難しいのが現状であります。」

私（村上義清）「ならば輝虎の視線を関東並びに信濃から逸らせよう。」

真田幸隆「そこで目を付けたのが越中の一向宗であります。」

私（村上義清）「そうなると種子島や玉薬も……。」

真田幸隆「はい。本願寺を経由して甲斐に送り届けられております。」

私（村上義清）「結構厄介なことになっていないか……。」

真田幸隆「それにつきましては安くしてくれているとは言え、勿論無料ではありません。加えて他の勢力の道を通らないことには輸送をすることは出来ませんので、心配するほど大規模な備蓄にはなっておりません。ただ気になりますのは義信の母の実家が実家でありますので……。」

私（村上義清）「間接的であるとは言え、三条家を敵に回すことになってしまっている……。」