第202話矢面
真田幸隆「大丈夫です。殿には上杉輝虎を経由する形で関白様が裏に付いていますから。」
私(村上義清)「三条家と近衛家の代理戦争に巻き込まれる覚えは無いぞ。それに奴(近衛前久)はもう(輝虎に黙って京に)帰っただろう。」
真田幸隆「加えて義信の母の姉は細川家の正室であります。」
私(村上義清)「武田といくさをすることは将軍と事を構えることにもなる。と言う事か……。」
真田幸隆「はい。」
私(村上義清)「(もういいです。)しかしさ……。」
真田幸隆「何でしょうか?」
私(村上義清)「一向宗が矢面に立って輝虎と喧嘩するのかな?」
真田幸隆「神保長職を支援し続けましたこれまでの経緯から見ますとそれは無いと思います。」
私(村上義清)「武田の外交力を以てしても難しい?」
真田幸隆「彼ら(一向宗)にとって大事なのはあくまで庄川から西の利権であります。そこを輝虎に踏み込ませるような危険は冒さないと思います。可能性があるとするならば義信が越中に兵を出した時になるかと……。」
私(村上義清)「あり得ないことだな。」
真田幸隆「はい。その代案としましてこれまでは(一向宗と境を為す)長職を使っていました。」
私(村上義清)「今後、その方法を使うことは出来なくなってしまった。」
真田幸隆「はい。新たな有力者を探す必要があります。」
私(村上義清)「そんな奴居ないだろ?」
真田幸隆「今は居ません。」
私(村上義清)「何か含みを持たしているな?」
真田幸隆「少し時間を下さい。」
私(村上義清)「ん!?何か仕掛けようとでもしているのか?」
真田幸隆「武田の考えを弄ろうと思います。」
私(村上義清)「うちが危なくなるようなことだけはするなよ。」
真田幸隆「どうでしょうかね……。」
私(村上義清)「おいおい大丈夫なのか?」
真田幸隆「あくまで越中のことですから。」
私(村上義清)「そこに輝虎が忙殺するように仕向けるのだろ?」
真田幸隆「はい。」
私(村上義清)「そうなったら奴ら(武田と北条)が関東で動き出すだろ。」
真田幸隆「はい。」
私(村上義清)「状況によってはうちにいくさを仕掛けて来ることにもなる。」
真田幸隆「はい。」
私(村上義清)「良いのか?」
真田幸隆「構いません。」
私(村上義清)「仮にうちが義信と戦って勝つことが出来たとしよう。そこまではこっちの責任で何とかすることになる。だが関東はどうなる?輝虎が居なければ奴らを止めることは出来ないのだぞ。」
真田幸隆「殿が上野に入れば済む話であります。」
私(村上義清)「それは無理筋だろう。」
真田幸隆「でしょうね。」
私(村上義清)「何を企んでいる?」
真田幸隆「少し時間を下さい。」
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