旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

第156話下均し

　本国越後に一抹の不安を覚えつつも国境を越え上野に入った長尾景虎。先に入れた北条高広が北条氏康から守って来た沼田城に到着。

真田幸隆「『やっと来たか。』」

私（村上義清）「『ここでの苦労が報われた。』」

真田幸隆「『長い出張もこれで終わった。』の心境でしょうか。」

私（村上義清）「でもこう言う下均しの役目を担ったものってさ。」

真田幸隆「いざ報われた時に労われることは無いんですよね。」

私（村上義清）「ん！？上野に居るお前の同族が何か掴んでいるのか。」

真田幸隆「まぁ。内内の場では愚痴の嵐みたいですよ。」

私（村上義清）「『あいつら（長尾景虎と山内上杉憲政）が今。簡単に沼田城に入ることが出来たのは誰のおかげだと思っているんだ。』」

真田幸隆「内内の場であればいいのでありますが。」

私（村上義清）「公の場でも言ってるの。」

真田幸隆「流石にそこまでは。ただいつでも外へ漏れ出すことが出来るよう手配はしておきます。」

私（村上義清）「うちに引っ張っるってこと。」

真田幸隆「ここ数年の彼の活躍を見れば能力的には価値があると思います。ただ……。」

私（村上義清）「奴がいるとお前の勢力を伸ばすことが出来ないから邪魔だ。」

真田幸隆「そう言うつもりは無いのでありますが。彼はかつて一度景虎と仲違いした経験がありますので。」

私（村上義清）「信用出来ない。」

真田幸隆「いえ。言うならば『軽い』になりますでしょうか。」

私（村上義清）「境目に居るものとしては仕方がないことだろう。むしろその軽さが無いと一族を滅ぼす原因にもなってしまうことにもなり兼ねない。」

真田幸隆「しかし彼は長尾景虎の家臣として上野に入った人間でありますので。」

私（村上義清）「そうか。地場のものではなかったな。」

真田幸隆「見ててください。越後領内には彼のようなものがいっぱいいますので。」

私（村上義清）「うちも他人の事言えないような。」

真田幸隆「危うい関係にあることは否定しません。」

私（村上義清）「『いつかこいつ（主君）を討ち果たす。』で気付いたら信濃を治めていた変な集団だからな。」

真田幸隆「でもわかりやすくていいでしょう。」

私（村上義清）「主君が着衣の下に鎖帷子を着込んで家臣に会わなければいけない家ってそうは無いぞ。」

真田幸隆「鎖帷子だけで大丈夫ですか。」

私（村上義清）「『火気厳禁』も加えることにする。」

真田幸隆「賢明な判断かと。ただこれだけ自由に出来る場所もありませんので、当面はこの関係を維持しようと考えています。」

私（村上義清）「許可はするけど、あまりお金を使う行動は控えてください。」