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第150話致命傷
私（村上義清）「いくさの様子でわかることはあるか。」
春日虎綱「はい。織田信長は桶狭間の何処に今川義元が居るか、即座にわかったそうであります。」
真田幸隆「何か目印になるものでもあったのか。」
春日虎綱「勿論最も安全な場所に義元が居ると言うことは推察することが出来るのでありますが。どうやら槍を見ていたとか。」
私（村上義清）「どういうことだ。」
春日虎綱「１つのところだけ槍が長く、しかも長さが揃っていた。と。」
真田幸隆「ほかはバラバラであった。」
春日虎綱「はい。」
真田幸隆「バラバラと言うことはこのいくさのために寄せ集められたものたちを意味する。装備についても自弁。義元の親衛隊がそのような扱いにあるわけがない。と信長が判断し。」
春日虎綱「ほかに比べあまりにも整えられた１つの部隊目掛け突撃を仕掛けたそうであります。」
真田幸隆「殿も気をつけてくださいよ。」
私（村上義清）「うむ。」
春日虎綱「そこで信長の本隊と義元の本隊が乱戦になりまして。」
私（村上義清）「義元が討ち取られた。」
真田幸隆「そのあとのことでわかることは。」
春日虎綱「今後の今川家のことを考えると、勿論義元の死が最も大きな痛手あることに変わりはありませんが。」
私（村上義清）「申してみよ。」
春日虎綱「はい。義元直属の家臣の数多くが此度のいくさで討ち死にとなっています。」
当主が討ち取られ、浮足立つ中撤退を試みる今川義元の本隊に、義元の首を取り勢いに乗る織田信長軍が追い打ちを掛けた結果。
春日虎綱「松井宗信、久野元宗、井伊直盛、由比正信、一宮宗是、蒲原氏徳などの諸将も討ち死にとなっています。」
真田幸隆「近習を務めたものもいれば、駿河遠江の有力な国人領主も居る。」
春日虎綱「今後の兵の展開に支障を来すことになるのは必至。」
真田幸隆「兵は補充すれば済みますが、指揮をすることが出来るものにつきましては還俗させて家を継がせたからと言ってすぐに兵を束ねることは勿論出来ませんし、血筋があるからと言って、ものになるかはやってみないことにはわかりませんからね。」
私（村上義清）「大高城と鳴海城はどうなった。」
春日虎綱「大高城は撤退。鳴海城は抵抗を続けるも義元の首と引き換えに開城。更に沓掛城も信長の手に落ちました。」
私（村上義清）「熱田の安全は確保された。」
春日虎綱「はい。三河につきましても以前より信長方でありました水野氏が今川方でありました重原城を奪取。今川の勢力は西三河の東部まで押し返されることになりました。」
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