チンアナゴ差別主義
久々に電車に乗ると、何かの団体の広告に『チンアナゴを尊重しよう』と書いてあった。
なんだか気になって、知り合いになぜそんなことになっているのか聞いてみた。
「なんでチンアナゴを守らなくちゃいけないんですか?」
「えっなんでそんなこと聞くんですか? もしかしてあなた、チンアナゴ差別主義者なんですか?」
「え? 私もチンアナゴですけど」
「あ、そうなんですね。すいません。何のチンアナゴか聞いてもいいですか?」
「ニシキアナゴですよ」
「あー。きっと大変ですよね」
「え? 何がですか?」
「いやだって、チンアナゴって、みんなと違うじゃないですか」
「いやでも、別にチンアナゴじゃなくたって、人間ってそれぞれ違うものじゃないですか?」
「確かにそうですけど、やっぱりチンアナゴ差別って根強いじゃないですか?」
「そうなんですか」
「結構、多いみたいですよ」
『別にチンアナゴだっていいじゃないか』
『チンアナゴ差別をなくそう』
『チンアナゴが住みやすい社会に』
まるで『飲酒運転はやめよう』みたいなノリで、チンアナゴのことが街中で言われている。
今までそんなにみんなチンアナゴに興味を持ってなかったはずなのに、なんでこんなことになっているんだろう、と不思議に思った。
私としては、別にチンアナゴであることをそれほど嫌だと思ったことはないし、差別されてると感じたこともない。まぁ多少、それが原因でからかわれたことはあるけれど、でもそんなの眉毛が太いとか、唇が厚いとか、ちょっと毛深いとか、そういうことでからかわれるのと大差ないことだし、そんなチンアナゴであることを特別扱いされても困ると思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます