隣の席の可愛い道産子天使ちゃん!!〜陰キャな俺に優しくしてくれたのは道産子の銀髪女子高生だった!〜

藍坂イツキ

プロローグ

プロローグ 「親の転勤」1


 小説×イラスト投稿サイト

「たいあっぷ」にて挿絵6枚付きで公開中! 6月7日19時より読者ページ公開なので是非、ご覧ください!!


たいあっぷ>https://tieupnovels.com/tieups/163





 

 高橋昇二たかはししょうじは目を見開いて驚いていた。


「したっけさ、サコマでかつ丼食べに行こうよ!」


 ――なんだろう、俺の勘違いなのだろうか?

 ——陰キャの俺なんかに、ミスコンの天使が声を掛けるなんて。


 嘘なのではないかと、夢なのではないかと。


 ――俺は心底、そう思っていた。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




「お前、俺の都合で来週には洞爺湖とうやこ町に引っ越すから」


「え」


 この二行の会話が全てだった。


 札幌の暑くてだるい夏が終わりを告げ、極寒の季節がやってくるという兆しが見えた9月28日。


 それは唐突に知らされた。


 最近、親父とお袋がそわそわしていたから何かあるんじゃないかと思っていたのだが……まさか転勤の話だと思わなかった。


 しかしまあ、俺にとってこの転勤は良かったことかもしれない。俺の、陰キャ高校生生活にようやく終止符を打てるのだ。この地獄(笑)の毎日から、夢の天国の毎日に。


 何より、俺の陰キャは度を越している。


 クラスには自称陰キャ(笑)がよくいるのだが、そちらとは比べものにはならない。あいつらは自称しているだけだし、「陰キャ」をステータスかなんかだと思っている。


 一つ言わせてくれ。


「まじ、ファッキン笑」


 しかし、陰キャを極めた俺ともなるとさすがに笑えない。友達は小学生の頃から変わってもいないし、新しくできた友達はゼロ人。まあ小学校の時の奴らが俺を友達だと思ってくれているかは分からないけど。


 そこにもしも、俺と同じ境遇の人がいるならここで宣言したい。


「友達、作った方がいいぞマジで」


 だが、そうは言ったものの。それを実行に移すのは簡単なことではない。右往左往して、はぶられていじめられるか、無視をされるのが運の尽き。俺たち、陰キャの真打には居場所などない。


 そこで舞い降りてきたのが——親の転勤という名のだったのだ。

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