セフィリスが正式に仲間になる

 パーティーが始まった。流れるような音楽と共にパーティーが行われる。


「改めてトール君……君のおかげで我がエルフ国。いや、世界が邪神の危機から救われた。本当にありがとう」


 エルフ王が俺に礼を言ってくる。


「お父様、お願いがあるのです」


 セフィリスはエルフ王に頼み始めた。


「お願い? お願いとはなんだ? 申してみよ」


「私とトール様との旅に同行させて欲しいのです」


 セフィリスは自分の胸のうちを語り始める。


「なぜじゃ? セフィリス。そなたはエルフの国の王女だ。なぜ自らそんな危険な真似を」


 エルフ王は驚いていた。あまりに予想外の娘の言葉に。


「エルフ国の危機は過ぎ去りました。ですが、魔王軍による危機は依然として健在です。根本的な平和はこの世界には訪れていないのです。世界は依然として混乱と危険に満ち溢れているのです。この状況をとても平和とはいえません」


「セフィリス」


「以前の私は鳥籠の中の鳥でした。そのため広い世界の事を知りませんでした。ですが知ってしまった。今の私はもう自分達の国だけが平和になれば、危機が去ればいいとはとても思えないのです。トール様」


 セフィリスは情熱的に俺に語り掛けてきた。


「トール様さえよろしければ、どうか私をパーティーに加えてくれないでしょうか? まだまだ未熟である事は承知しております。ですが私はもっと強くなります。研鑽してもっと強く。きっとお役に立てるようになります」


「どうするの? トール」


 エミリアが聞いてくる。


「絶対の安全は保証できません。できる限りないようにはしますが、パーティーに加わった以上は戦力として扱います。セフィリスをエルフ国にいる時のように、お姫様のようには扱えません。それでもよろしいでしょうか? エルフ王」


「うむ……。娘がこうまで強く主張するのは初めてだ。可愛い子には旅をさせろという。娘の身を案じる事だけが娘の幸せにはならないのかもしれない。エルフの国の危機だけではなく、世界の危機を救いたいというセフィリスの意志を尊重しよう。よいだろう、セフィリス。トール殿に同行するがいい」


「ありがとうございます。お父様。よろしくお願いします、トール様」


「わかった。よろしく頼むな。セフィリス」


 もう俺はセフィリスを姫呼ばわりなんてしない。なんてたって、こいつはもう俺達パーティーの一員だ。仲間だからな。


「俺ももうセフィリスを姫とは呼ばない。だから、そのトール『様』って呼び方はやめないか? 俺達はもう仲間だ。パーティーメンバーなんだ」


「はい。では、トールさんとお呼びできれば」


「わかった。呼び捨てが無理ならそれでいい」


 こうして、俺達のパーティーメンバーにエルフ国の王女にして『弓聖』セフィリスが加わった。


 パーティーが終わった翌朝の事。俺達はとりあえずはアレクサンドリアの冒険者ギルドを目指すことになる。まだ邪神を討伐した事の報告に行っていないからだ。


 しかしその帰り道で俺は連中と思わぬ再会を果たすのである。



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