邪神を倒す
「ぐ、ぐぬっ! ちょこざいなっ!」
邪神セフィリスの放つ矢を嫌がった。だが、当然のようにそれで倒し来てるわけがない。邪神の脅威はすぐ目の前まで迫ってきている。そしてセフィリスの防御力では一撃で死にかねない。
「も、もう限界です! トール様!」
セフィリスは叫ぶ。
「OKだ! エミリア! セフィリス! よくやった!」
俺は召喚魔法を唱え終わる。俺の周囲に巨大な魔方陣が張り巡らされた。
「召喚(サモン)」
俺は召喚魔法を発動し、召喚獣を召喚する。
「ホーリードラゴン!」
俺の目の前に現れたのは巨大な白竜だ。聖属性の竜。『ホーリードラゴン』である。邪神のような闇属性のモンスター相手には有効な召喚獣である。
「な、なに!? 貴様! 何をした!」
「邪神、お前に特別なプレゼントをくれてやる!」
俺は召喚士の職業を返済した後、また新規に職業を自己貸与(セルフレンド)する。
自己貸与(セルフレンド)した職業は『竜騎士』のジョブだ。竜騎士は竜に乗る事でさらなる真価を発揮する職業だ。俺はホーリードラゴンにまたがる。
「いけ! ホーリードラゴン!」
ホーリードラゴンは天高く舞い始める。竜騎士の職業の主な特徴は乗っているドラゴンの能力を引き出すことにある。
ドラゴンと一体化する事で、より高い戦闘力を発揮する事ができるのだ。
俺はランスを構える。ホーリードラゴンに乗った俺は天空から滑空する。邪神にめがけて。
「エミリア!」
「わかってるわ! トール!」
エミリアは俺にバフ魔法をかけた。
「オールステータスバフ!」
俺とそれからホーリードラゴンにステータスアップのバフ魔法がかけられる。俺達は通常では考えられない程、能力が加算されている状態になった。
その攻撃の速度は音の速度など簡単に抜き去り、まるで閃光のようだった。
「くたばれ! 邪神! 光になれ!」
俺とホーリードラゴンは光のような速度で、邪神に襲い掛かる。
「な、なに!? ば、バカな! そんな事が!」
邪神と俺達が接触した瞬間。物凄い衝撃と爆発が起きた。
「ば、バカなああああああああああああああああああああああああああああああ!」
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
周囲に物凄い土煙が立つ。
「トール!」
「トール様!」
しばらくして土煙がおさまった時に、あったのは俺とホーリードラゴンの姿だけだった。
「トール、邪神は?」
「倒せたはずだ。もう跡形もない程に」
「そう……よかったわ」
エミリアとセフィリスは胸を撫でおろす。
「協力してくれてありがとうな。ホーリードラゴン」
俺はホーリードラゴンの労をねぎらう。ホーリードラゴンは鳴いた後、役目を終えた事を察し、塵のように姿を消した。
「ありがとうございます! トール様! あなた様のおかげでエルフの国が救われました」
「何を言っているんだ。エミリアとセフィリスの協力があってこそだ。俺一人では邪神は倒せなかった」
「はい……そうかもしれません。ですがそれでもトール様がいなければエルフの国は滅んでいたかもしれません。その事実に間違いはありません」
セフィリスは泣いて喜んでいた。
「さて、帰ろうか。とりあえずはエルフの国に」
「はい!」「うん!」
こうして俺達はエルフの国に凱旋を果たすことになる。だが、その時、あの連中と俺は思いがけない再会を果たすことになるとは。思ってもみなかったのである。
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