第1話 固定で緊急クエスト
さて、今日もログイン。
ゲームを起動し、シップを選ぶ。
一人しかいないマイキャラクター「りぼん」を選びログイン。
ロビーのゲートエリア、中央エレベーター前に降り立つ。
「こんばんは♪」
ログインした時点で最初の言葉が、この「こんばんは♪」だ。
これをチームチャットで言う。
すると、いつも真っ先に返事をくれるのが、チームマスターのパグパグさん。通称パグさん。
「こんばんは!」
トゲつきの吹き出しであいさつしてくれる。
それに遅れじと、「こんばんは」が続く。
「りぼんさん、まめにログインしてくるよね。LV結構上がったんじゃない?」
オレンジ色のチムチャで話しかけられる。
「はい。だいぶ」
りぼんのクラスはブレイバー。
「見っけ」
そのチャットに反応して周囲を見回すと、初音ミクが一人。
パグさんだ。
「お、LV85越えてるね。サブクラスは?」
「あ、ハンターも85越えました」
「よし。ウルトラハード行けるじゃん。次の緊急みんなで行くか!」
「え、いいんですか? 行きます!」
「ぴいんぽんぱーんぽーん。次の緊急、りぼんさんのUH達成記念で固定組みます。行ける人ー」
「ノ」
「行きます」
「b」
「ごめーん、ちょっと無理」
「参加」
次々とチームメンバーたちの返事がやってくる。
「とりあえず、018に集合」
018は、私とパグさんがいるブロックだ。
このゲーム、001から始まるたくさんのブロックが存在して、その中で好きなブロックを選んで遊ぶ。
一応、001のビギナー推奨とか、推奨用途があるけど、まあ、あまり守られている感じはない。
そうこうしているうちに、チームちょこころねの面々が集まってきた。
「ロレさん、リニアー適当に拾って」
「はーい」
「了解」
PSO2は、キャラクリの自由度が高い。
チムマスのパグさんは初音ミクそのものだし、リニアーさんはホロライブのマリン船長の姿をしている。ルーナさん、六花さんはラッピーという鳥の姿。ゆみみさんはメイドさん。ロレ姉さんは、ガン黒の女子高生。他にも女性型ロボットに狐のしっぽをふさふささせた和服の女の子にゲッターロボまで。
ここだけ見てると、とても一つの同じゲームのアバターには見えない。
うん。まあでも、女の子が多い。中の人のほとんどは男性なんだろうけど。
「拾えたー」
「こっちもー」
「うし」
画面に新着のパーティー招待が来た。
私はyesのボタンを押す。
キャラクターの頭上表示が青くなり、キャラクターステータスの上に、パーティーメンバー分のステータスが並ぶ。
ゲーム内に緊急クエストのアナウンスが響く。
パグさんがカウンターへと向かった。
「さて、行くぞ」
「はーい」
「パスはー?」
「おっぱい!」
「えええええ」
リアルの声が漏れた。
「はーい」
「はいはいいつものいつもの」
チムチャの言葉は当たり前のように続く。
ロビーの床に黄色い矢印が浮き出る。
クエスト受注の証だ。
私はキャンプシップへと降りていく。
そして、ドリンクを飲む。
同じようにパーティーメンバーのパグさんたちも飲んで、そのまま入水。
白い靄の中、NPCが迎えてくれている。
「さー、行くか」
「あの……パグさん」
私はつい、聞いてしまった。
「ん?」
「パグさんって……変態さんです?」
「のぉぉぉぉおぉぉぉぉぉぉ!」
「あ、今頃気づいた?」
「そーだよー」
チムチャは軽い。とても軽く、私の言葉を肯定していく。
「はい、スタートねー」
タイムカウントが進んで戦場へ。
その日、パグさんは無双の大活躍をしてみせた。
私は、と言えば三回くらい床ペロしたが、みんながムーンアトマイザーを投げて助けてくれた。
もう少し、うまくなろう。
そんなことを思った。
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