居場所

@Nekota219

第1話

『ただいま~…』


久しぶりに帰るこのハウス。

自分の家のようで自分の家ではないが

私にとっての唯一の"家族"の住む家。


奥からカダカダッ!!と大きな音がしたと思うと最大身長のオスラが顔出す。


「白雪…⁉お、おかえり…!」


強面の表情からは想像できない柔らかな笑顔で私を出迎え駆け寄り子供を抱くように抱きしめてくる。

「ケガは?疲れてないか?風呂沸かすぞ?」


『もぉ~!!子供じゃないんだからぁ!』

そう怒ってみせるが内心嬉しい気持ちがバレない様にポコポコとコルトを叩く。


スタッとコルトの腕から抜けぎゅっと抱きしめる。

『遅くなってごめん…』


俯く私の髪を優しく撫で

「白雪が無事ならそれでいいさ。」と微笑みかける。


「まずはお風呂、入ってきたら?その間に白雪な好きな和食用意しといてやる。」

彼はククッと笑う。


久しぶりの和食…!?思わず目を輝かせる。

『すぐあがるから…!!』

バタバタと浴室へ駆けていく。

遠くから「ちゃんと温まれよー!」と

コルトの声が聞こえる。


お風呂からあがると部屋から大好きな匂いがしてくる。

うきうきしながら席に着く。


「白雪…タオル被ったままじゃなくてちゃんと乾かさなきゃ…。」

やれやれと困ったような笑顔でこちらを覗いて来る。


『だって…早くコルトのご飯食べたかったんだもん…』

むすくれる私を見てコルトは今日だけだぞと伝え頭に乗ったタオルをくしゃくしゃと撫でた。


『ん~~!♡やっぱりコルトのご飯美味しい~!』

コルトは料理も裁縫も上手い。沢山の洋服もご飯もいつも彼が作ってくれる。


『こんな美味しいご飯が食べられる私は幸せ者だね』

そうふにゃりと笑うとコルトは幸せそうに

私の頬に付いたご飯粒を取りながら


「白雪のためならいつでも作るよ。

いつでも帰っておいで。ここは白雪の家でもあるんだから。」そう愛おしそうに彼は微笑んだ。


『うん、ありがとう…っ』

泣きそうなのをグッと抑えこの暖かい家とぬくもりがずっとずっと続きますように…と静かに心の中で祈った。

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