移り変わりの
桜野 叶う
過ぎ去り
あまりにも
その原因は、彼だ。
私はこの日、
「お前、女として見れないんだよ。愛情なんてなくなったわ」
突然
まだ全然理解ができていないうちに、彼は立ち上がった。
「お前とは
そう言って、店から出ていった。未だに理解が進まない上に、さらに情報量か増えて、私の頭は
縁を、切る。
縁を……切る。
縁を……きる。
縁を切る。──
私は振られた。破局した。
私はひとり、ここに取り残された。机の上には、料理ののっていない皿、水が入ったグラス。それぞれ二つ。それと手前にある飲みかけのコーヒー。それはもう、飲む気になれない。遅れたショックが今頃やってきて、頭の中の空白は、やがてすぐに
私は私の部屋にいた。気づけばベッドの上で
「お前は女として見れない」と彼は言った。そもそも、私は女としてみてもらおうとしていない。私は、
でも、私はそれらとは違った。常に身だしなみに気を配るのは、
いっそこのまま、終わってしまえばいいのに。
昨日の絶望感はまだまだあって、そのせいか、
やっぱり重だるい。地面に引っ張られて、倒れてしまいそうだった。さらに視界も不安定だった。
「おはよう、
出社してすぐ、同期の
「どうしたの、すごく暗いけど」
「いや、なんでも」
でもやっぱり、知られたくない私は、明るくみせようと顔を取り
休憩スペースの、人のいない空間にある席に座った。日波ちゃんはその隣に座った。彼女のことを気に
しかし、言えない。やっぱり怖くて。何が怖いかと問われると、自分の弱みを、自分の黒星を、人に知られるのが怖かった。日波ちゃんは、私の弱みを知ったからといって、決して馬鹿にするような口は言わないとは思う。……だが、人間というのはいろんなお面を持っていて、時によってかぶるお面を変える。私は昨日、それを
きっと、日波ちゃんにもいろんなお面があって、私の前では、ほわほわと可愛いらしいが、それもお面の一種で、本当の顔は別のものなのかな。そんな疑いの目を向けてしまう私は、
結局、一言も言葉を発することなく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。