第17話 take out of the bage


「転送先を設定してないの」


と、わたしは聞く。彼は


「いや、装置はまだ試験中なんだ。通信するように転送物質を急加速させ、光の速度を超えると、次元を超越して消失するのさ。行く先は別の次元だから、まだ転送先まで指定できない」


そうなんだ、とわたしは納得した。

他の次元で似たような装置があれば、この3次元に悪意ばかりが転送される事もあるんだし、今わたしが転送したものも、どこか別の場所に落下しているかもしれないんだ。


ひょっとすると、原発が爆発したのも

どこかから落下した悪意がそれを行ったのかもしれないな。


わたしは、そんなふうにも思った。


自分が住んでいる国を汚染するような操作って、おかしいもの。


「推理は面白いけど、立証は難しいね」フェルディナントは、さらりと答え、でも装置を使ったなら、時空間を飛び越えた形跡が付近に残るはず、とも答えた。



それなら....

送られて来た時空間へと逆転させてしまえば。

4次元なら、時間を超越出来るのだから、過去へ戻れるかもしれない。


無謀な推測を、わたしは考えた。

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