第百三十二話 海の保養所人気 ムータンとダンマス


結局、数日、食っちゃねしていた。

そして、来てから5日目の昼頃に、

「そろそろ帰ろうか?」

と、ユータが3人の気持ちを代弁したかのように言う。

ああ、そうだな

うん、そろそろ、

と、


「でも、飛んで帰ろうぜ!」ドーラ


「でも、ボク2人も載せられるかなぁ」ユータ

「・・俺がドラゴンになってでかくなっていけばいいじゃん」ドーラ


もうかなり以前からドーラは自分の魔力のみででかくなれるようになっていた。

が、ユータのほうが魔力量多いので、ドーラはブレスとか使うようにとっとくために、でかくなるのにユータのマソを貰っていた。

今回も長距離を飛ぶので、魔力で飛ぶので、ユータにでかくしてもらう。


2人が乗っても余裕くらいな大きさ、でもどうにか足で胴を挟めるくらいの大きさで。

より大きほうが羽が大きいので、風を利用することも容易なので面白い飛行が出来る。



ドラゴンになってドーラがある程度飛び上がり、そこまでジョニーとユータが飛び上がって、ドーラの背中に乗る。

宿の側でやったので、宿の子たちも人魚たちも驚いていた。

めったに見ないからね、、、


うひゃっほうー!!

ドーラは久々の翼の飛行が楽しいらしく旋回しながら昇ったり、急降下したり、いろいろ楽しいようす。

でもユータとジョニーは、バリアこそはって落ちないけど、胃が持ち上がったり振られたりするのはどーしょーもない、、、

「ドーラ、吐いていい?」ユータ

「え?あ!ごめん!やめるから、、、」


ほどほどの高さで水平飛行に移るドーラ。

風がある高さだと飛ぶのが楽だし。

気候によって高さが変わるけど、結構上空には風が在る。雲が動かない日以外は大概どこかの高さに風は在る。

向かい風だと浮くのに魔力を節約できる、速度はでないけど。逆だと速度は出るか、浮かせるための魔力は食う。


時速100−200キロ程度のゆっくりした速度で飛行することになったので、ユータはバリアを前面の風防程度にして、ユータとジョニーの体を落ちないようにゆるく遊びをもって固定し、風を受けることができるようにした。


「気持ちいいなーーーー!」ジョニー

「うん!バイク乗っているか、船のってるかみたいー」ユータ

ああ、船なら、そうだなー、とジョニー。バイクは知らないからね。


2000キロ弱あるので、夕暮れに近くなったら転移で邸に戻る。


「「「ただいまー!」」」

「お!焼けたなぁ!」と、皆が。

そうお?

3人共毎日見ていたから変化に気づかなかった。


夕食時、ジョニーは、よかったよかったを繰り返していた。

各国渡り歩いてきた、ベテラン冒険者の中でも上位のジョニーがそこまで夢中になって言うんだ、すごいんだろうな、、と皆海に興味を持ち始めたようだった。


その直後から、各部署、出来る限り仕事を振り分け直し、数人余裕ができるようにして、順番で休暇をとるようになった。

扉が在るので海への行き来は簡単だ。

また、食事の時に厨房班の者に、自分の部署からはいつ何人行く、と行っておけば、宿の部屋を確保してくれる。

宿がいっぱいだったら、残念だけど夜は戻ってくればいい。


最初の頃は一回に3日くらいだったが、二回り目くらいになると、一週間くらいまとめて休むようになった。

「そのくらいないと、あそこは遊びきれない!」と、皆。

子供だから体力あるし、したいことがいっぱいあるのだろう。島もあるしね。もしかしたら人魚達ともあそんでいるのかもしれない。



ドーラとユータは、良かった、あそこを作って、と喜んだ。


ーー


ムータン王国、王宮前広場。

そこに50人くらい集まって気を回す鍛錬をしている。

前方の台の上に立って手本を見せてるのはタカ。

練習している者たちの間を縫って、指導しているのは市。


彼らはもう片言のこちらの言葉を喋れるくらいになっている。


そして、もうそろそろ簡単な魔法を教えてもいいかな?というくらいにまでなっている者も出始めている。


また、

タカと、市。彼らの魔力保持量が、ここムータンに来て少し経ってから徐々に伸び始めている。

今まで鍛えていたのが、ここの空気に含まれるマソをうまく得るのに役立っているのだろう。

ダンマスは用事から帰ってくると、何気なく2人の魔力保持量を測っている。

今は、物を動かすこと、飛ぶことなどなら出来るんじゃなかろうか、というくらいだ。


無いものを出すのは結構魔力を食う。ヒールも同様だ。そこらへんはまだ足りなく、小さめのファイアーボール1個とかくらいだ。ただ、近くで火事がありその火を使うというのであれば、10コくらい行けそうである。

身体強化は、程度にもよるが、オーク相手くらいなら一日、オーガ相手に余裕で勝つくらいなら1時間くらいだろうか。

向こうで魔法を使っての冒険者をするのであれば、この10倍は欲しいところだ。


そして、マソ発生に関しては、

たまに、ダンジョンのマソが不足気味になるときがある。その時のみダンマスが補充している。その場合、その晩はダンマスはあの洞窟に行って朝まで眠り、回復する。ときには一晩では足りないこともある。そこまでマソが出るようになっている。

ちなみに、ダンマスが補充しないばあい、ダンジョンは縮小されていく。


も少しマソが出る量を抑えればいいのだろうが、畑や人々のマソ吸収量を考えればぎりぎりだと思われる必要量なのだ。も少しダンジョンが育つまで我慢だろう。


市達がダンジョンに潜って闘う練習をするのは、まだまだ先ですねぇ、、と、少し残念な様子のダンマス。


ダンマスは、ムータン国民の多くが強い魔法使いになって、武力の強い国を蹂躙するのが見たいと思っている。

でも一方では、早く向こうの世界に移住させたい、とも思っている。


「ま、状況ですね」とダンマス。

王様の気持ちを含めた、状況で、いざとなったらあの扉を今でも使う気でいる。

大魔法使いであるユーリは、この国の全員くらいなら、大丈夫なんじゃないか?と踏んでいる。

その大きな理由は、こっちにもマソが向こう同様にあるということ。

双方が調和とれてれば、、まぁ異変は起きにくいよな、と。


また、

ダンマス王国に対して、各国は積極的にアプローチをとろうとしている。が、善意の者は僅かにしか見ない。

なので、大半は無視。でも、中には悪意があるものも見え、そういうのは見えた途端消している。

それでもそういうのがいなくならないのが、ダンマスにとっては驚きだ。

「舐められてるんですねぇ、、、、もしくは果てしない低能なんでしょうか?」ダンマス


お米の国とその手下各国の有様をわざと直視しないのか?見えないのか?どっちにしても低能でしかない。

現状を把握してこそ、どちらにせよ、次が見えるのに。

卑怯なことをすれば勝てると思っているのか?そこまで企みが上手いとおもっているのか?

そういうクズをいくら消しても、湧いてくる。

おもしろいのが、地域性があるのだ。そういう奴等が湧きやすい国や地域はある。


まだ続くようならば、また何かしてやらねばならないな、、とダンマスはほくそ笑む。

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