第九十八話 マッハ (シューは付かないから。
マッハと呼ばれる少年。
別に速いわけではない。こっちでは音速とか知られていないから。
よその孤児院からドラゴニアに来た少年だ。
同じ孤児院から来た仲間はいない。その孤児院は規模は小さく、上の子が下の子を見るので、院長は女の子を手放なさなかった。
きかん坊なマッハだけ放り出するように送り出された。ドーラとユータがその国に行く前の事だった。
その国王がここドラゴニアに来たという。
班長に言って、邸で朝食を食べさせてもらった。
いい気なもんだ、、、と、王たちを見て思った。
なんか言いたかったので来させてもらったが、、
自分が居た国がラットビアという国だと最近知った。しかしそれはマッハにはどーでもいいことだった。この今自分が居る国がドラゴニアだということを知っていればいいだけだ。
マッハがここに来てから早一ヶ月が過ぎており、もう魔法も少しづつ使えるように成ってきた。マッハにも早く覚えたい魔法もできた。空を飛ぶこと。飛んでいる者を見ると心が躍る。早く自分も空を自由に飛び回りたい、と思う。どれだけ気持ち良いことだろうか?それ以上の自由はないだろう!とさえ思っていた。
自分に与えられた仕事は魚の養殖だ。自分の担当場所で餌をやり、大きくなった魚を獲る。必要な魔法は身体強化とサイコキネシスとサーチ。船を動かしでかくなった魚を探し、網で掬う。
でも、堀の上を自由に飛んで、魚が居る所で掬って、掬った魚を転送で生け簀に入れれば同じこと。
マッハはそれなら飛行魔法、転移魔法(転送を使える)を覚える正当な理由になると思った。
「は?好きな魔法覚えればいいんだぜ?仕事で必要な魔法は先に覚えてもらうけど、それ以外は好きなの覚えていいんだよ?」
と、養殖班のリーダーに言われた。
「いちいち覚えるための言い訳なんかいらない。覚えたいんだ!だけでいい。で、どんどん使える魔法を増やしていく。いつ、どこで、どんな魔法が役に立つなんて、わからないだろう?だったら一つでも多いほうがいいだろ?」
とも。
なんか、飛ぶのはあとでもいいかな、、とか、マッハは思い始めた。
それから、同じ班の者達に昼の時とか仕事上がった後とかに魔法を教えてもらい始めた。
ほんの小さな魔法でも。で、同時に、どういう時に使えるかな?とか一緒に考えた。もちろん面白い使い方が無いか?が話のメインになる。男の子たちだからね!
ーー
王様達の見学は今日で最後。明日朝送っていく。
夕食後のお茶。
孤児院の院長も一緒に居る。
「うちには、ゴンザールとイスターニャ以外の国の孤児院から送られてきた子達が何人も居ます。
皆、ここに来て良かった。と、言ってくれています。そして、できれば、仲間たちを迎えに行きたい、と。」
と、院長。
ゴンザール、イスターニャの国王達さえも、神妙な顔つきになり、皆それぞれいろいろ感じているらしい。
「・・うちは、、聖光国が滅亡してすぐに教会を排除した。すぐにとは無理だが、、リターニャ軍を排除してもらった今、早急に、子どもたちがそう思わないで済む環境にしていく。ドーラ国王との約束でもある。」ラットビア国王。
「ああ。そしてリターニャでも将軍が動く。少しは時間がかかるだろうが、あの国内が落ち着き次第、同様にするはずだ。あとは少しづつゲスザンスとゴーミに潜入しつつ子どもたちを脱出させるだけになるだろう。」ドーラ
ドーラは続ける
「あんたらも、ゴンザールとウチを見てわかったろう。兵もそうだが、自由な冒険者達でさえ、自分が好きな国が危機になれば、その国を救いたいと思い、協力して戦ってくれるんだ。そう思ってくれるんだ。
兵力の実際のちからは数倍になるだろう。
いやいややったり、強奪目的で闘う奴等とは気構えからして違うんだからな。
自国内、日々、皆がどうなのか?を、しっかり見ることができていないと、どこで誰が勝手なことし始めるか、わからん。
存在させたらいけない奴は、できればお前らが自分でその場ですぐに消す。それが人びとを安心させる。それは最も重要なことだ。俺とユータはそうしている。
俺らが知っているのは、孤児も冒険者も自由だ。行けるチャンスが有れば、自由にどこにでも行く。でも、ホントに良いところだったら、もうそこから離れないだろう。そういう国は、今までゴンザールしか無かった。」
と、ドーラは〆た。
「ウチの子達も随分処分していますよ?」ダンマス
「ああ、モモンガ達には随分世話になってます。ありがとうダンマス」
いえいえ、もっとがんばりますよ!とダンマス。
ちなみにダンジョンから来た警備の助っ人達は、今は殆どが中間の街と北の森の街の警備に行っている。
森から迷い出る魔獣とかの警備。国内とダンジョン側の街では、もうマキチームの子たちが充分に力を付けていた。
翌日、各国王達を送っていったドーラ。一緒にガンダとジオが行く。2カ国を見て周り、特にラットビアは早急な援助を必要としている。だから、そこを具体的に決めていく。
その日の晩、マッハは院長に礼を言った。
「言ってくれたんだってな、ありがとう、、今日厨房の子たちから聞いた時は嬉しかった。」マッハ
「うん、マッハの居た国は、あの後教会関係の者達全員を追放したらしい。ただその直後にリターニャに占領されたので、それから進まず。なので孤児院の面倒は地域がやっているらしい。これからはドーラが目を光らせてくれるはずだ。」
「うん・・・ありがと、、」
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