第八十九話 3つ目の国


北の国王都。王宮上空。


「さて、どーしたもんだろうかね?」ドーラ

「・・・今から行きますよー、人払いしといてねー、とかは?」ユータ

「まぁそれでいっか、しなかったらしなかったでその程度の奴だとわかるし、、」

遠視で王宮内に王を探すと、それらしいのがいた。


(あー、そこのおまえ。王だろう?俺はドラゴニア国王だ。聞こえていたら右手の人差し指を動かせ)

動かした。

(お前、返事しても俺に聞こえるから、なんか言ってみ?)

(あー、、ナニを言えばいいのかな?)

(まぁ、、そうだよな、、今朝のメシは何だった?)

(・・・ポリッジだ)

(王なのに、質素なんだな)

(まぁな、うちは昔からそうだ)

(良い王家なのかな?)

(知らん。が、国民は尽くしてくれているな)

(そうか。今からお前に会いに行っていいか?俺と、兄弟が一人いる)

(・・・・今から私の私室に戻るので、そこに来い。儂も最も信頼できる者を一人連れて行く)

(わかった、戻った頃を見計らっていく)


「聞いてたかー?」

「うん、朝食のことだね」

まぁそーですけども、、


「あーゆーんで、こっちの人となりが向こうにはそれなりに判るだろ?で、その返事でこっちも向こうのがそれなりにわかるだろう?」

「そだねー、いきなり怒りだすとかだったら相手したくないよね」

「そういうこと。こっちの力量をちゃんとわかったらしいし。」

相手の力量を測れないバカが王をやってる国なんか、さっさと滅ぼしたほうがいい。周りに、人類全体に、生き物全体に大迷惑だ。


ーー


「さて、、」王

「ああ、俺がドーラ。ドラゴニア国王。こっちがユータ、一緒に国を立ち上げた相棒だ。俺より強い。」ドーラ

「いやだなぁ、、そんなことないよ、えへへ、、」ユータ

「謙遜必要ない場合を知っておけよ、、」

「わかった。強いです」


「・・・まぁ、、2人でうちの国を消滅させられるくらいだとは思うが、、で、本題に入りたいのだが」

「ああ、お前んとこは他の国を侵略しない国だと聞いた。」

「・・・・したことあったっけ?」と、側近に聞く王

「歴史の文献には載っていませんね、、本気で侵略してきた国があったので、撃退し、そのまま滅亡させて引き上げてきた、というのは在りましたが」


「へぇ、、なかなかやるな!いいね!!」ドーラ

「うん、カッコイイね!」ユータ


「「・・・・・・・・・」」


「で、この国には孤児は多いか?」ドーラ

「まぁ、居ないことはない。孤児になったらできるだけはやく引き取るようにさせているはずだが、、」とまた側近を見る。

「・・・すみません、最近の動向は把握していません。が、近年は少なくなっています。飢饉や魔獣の襲来などがほとんど起きていないので、親を失う子があまり居ません。事故くらいですね。


「貧困はどうなんだ?メシをちゃんと食えない家庭はどのくらいある?」ドーラ

「・・いるのか?我が国に?!」びっくりして側近を見る王

「え?いません、、いないはずですが、、長い病気などは引き取ってますし、、怪我や小さい病気はうちの教会が直しているはずですよ、、お待ちください。」

と、側近はドアから顔だして、外に居る兵士に何か伝言させた。


「すぐ現状を把握している者が来ます」

「・・わるいな、何気に聞いただけなんだが、、」ドーラ

「いや、そういうのは、こういう機会に確認しておくのはいいことだ。というか、、定期的に確認頼むな?」と王は側近に言う。

「申し訳ございません。今後はしっかりと」


治安の根本でもある貧困問題。

この王は、治安以前に、国民にそういうのを発生させたくない、という意識が強そうだ、とドーラは思った。


程なく青年が来る。フットワーク良さそうな。

数枚の書類を側近に渡し、外に控えていますと言って扉を閉めた。


「うちの国は国防軍が隅々まで治安を担当しているのですが、同時に全てを観察しています。で、治安以外でもナニか問題が起きたら協力する、解決する。村人の病気や怪我、家畜の病気や怪我なども把握できています。

極力そこの土地で自分達で解決していましが、手に余る場合は中央が乗り出します。」

続ける


「で、今回の報告ですが、現状、純粋な貧困は無いようです。最近では男手が事故でなくなった家庭5,畑は貸し出され、母子ともに国の農場に入り働いています。農場には子供向けの学校があります。奴隷のような暮らしはしていないはずです。不定期に王宮の者、私の部下ですが、各地をまわっていますので。」

と、側近が書類を元に述べた。


「おう、ありがとう。びっくりしたわ、、」王


「悪かったな、、もし、、もし孤児があまり良くない環境なら、ウチで引き取ろうと思ったんだが、、どうだ?本音の所で。子供が小さくて働けない母親と一緒でもいいぞ。」ドーラ

「今の所、儂の国民を放り出したくはないなぁ、、、余力はあるよな?」王は側近を見る

「その程度余裕ですよ?今でも他の一般の者達と同じような暮らしができているはずですけど」


「ということだ。わるいな」王

「ああ、大丈夫なら越したことはない。」ドーラ

「なんだ、お前んとこって、そーゆーのか?」

「いや、うちは孤児院がでかくなって国になったようなもんでな、、」


「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」


「国民全員孤児だ。」


「「・・・・・・・・・・・・・・・」」


「なので、大人は冒険者あがり、だな」ドーラ

「それと、ダンジョン」ユータ

「「?????」」


「いや、俺がドラゴンだろ?ダンジョンから外に出たんだよ。で、俺の親とも繋がりがあるから、、、」

「「??????????????????」」


「ダンジョンっても、、、あー、、、どういったらいいのかな?」

「大魔法使いの知り合いのダンジョンマスターのダンジョンで、、僕がその関係らしくって、、」ユータ

余計混乱する王と側近


「まぁ、、そんなもんだ、ま、来てみるか?これから。」

「・・・・おい、、2−3日、空けられるか?」混乱からすぐに立ち直る王

「将軍に全て押し付ければ、、」側近も立ち直り早し!

「頼む、、見てみたいわ俺、、」

「私もです」


(あー、テイナいる?)

(はーい、なんかあったの?)

(うん、今から客連れて行くから、2人。昼飯よろしく。2,3日泊まるんで部屋も頼む。)

(了解!)


「昼飯の用意たのんだから。」

「ああ、先程の念話か、、」

「使えるのか?」

「儂は無理だ。うちにはいるのか?」と側近に訊く王

「数人ほどは使えるとお思いますが、、」


王と側近がドーラを見る。物欲しそうに、、

「・・・・そこらへんは俺の仲間とよく話してくれ、、、ウチはほぼ全員使えるから」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・全員、、、って、、?」」

「300人弱?」ユータ

「ほぼみんな子供だけど、念話できるし、飛べる者も多いし、なにせ開拓地だからな、魔法使えないと大変だし危ないだろう?魔獣出るし」ドーラ


「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(一体どういうところなんだ???)」」

少し怯む2人。


ーー


今回は趣向を変え、ユータは4人でドラゴニア国側上空に転移で出て浮く。

ドラゴニア国側全体を見渡せる高さ。


「この周りの森に魔獣や猛獣が出るんだ。危ないだろう?」ドーラ

((そりゃそうだけど、、、))


「あの水路は僕たちが、ずーーとあっちの大きな川から引いてきたんです。」

2人が見ると、そこそこの大きさの船がたくさん行き来している。帆も無く、櫂で漕いでいる様子もない。

「あー、あれ?魔力で船を操作してるんだ。皆結構苦労して覚えたんだぜ」

((皆?覚えちゃったの?))


中央にある小さな街の外には広大に広がる田畑。

森との間には幅広の堀。そこにも船が少し。

「あの堀では魚の養殖をしてるんだ。ヒモノをつくってるんだが、うまいって評判だ。輸出もしている」ドーラ

(うん、異世界に輸出!)ユータ

(あっはっは!だな!)ドーラ


「んじゃ、ユータ、中間の街に行こう」ドーラ

おっけー!シュン!


中間の街の上空。

「ここが冒険者の為の街。外の森に近いので狩りをしやすい。ベテラン冒険者向けなので、それ以外は危険だな。」

「兵士とか、騎士とかの訓練になりますかね?」側近

「あー、、危ないんじゃないかなぁ、、対人とは全く違うからなー」ドーラ

ですよねー、とつぶやく側近。


「いやあれだ、おまえんとこがいい国で、俺と同盟組めば、なんかあったら敵を滅亡させるぞ?俺が」

「まあ、、それはあとで、、」側近

「ああ、、だな、、」王


「んじゃ、とりあえずメシにしようか!ユータ、頼む」

おっけー!シュン!


で、

食堂にはもうラットビアの2人と、ゴンザールの王と領主も来てて、そこに合流した。

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