第八十七話 残りの2カ国は?
ユータは元居たとこの東の国の王都上空に転移した。プチドラゴン形態ドーラを抱えて。
「さてどうしたもんかな、」
「占領軍だけをどうにかできないの?」
占領している軍は、自国の王都が消滅しているのに、まだそれを知らないのか、しってて帰るところがないからなのか、まだ居座っている。
この国の軍はそれに対抗していない。
「まぁ、街中見てみるか、、、」ドーラ
「うん」
で、姿を消して街中に入って、物陰で姿を表す。
占領軍の兵たちが闊歩しているが、
(やっぱり占領軍は自国がやばくなったって知ってるな、、)ドーラ
(わかるの?)ユータ
(ああ、わざとらしいほど悪事を働いてないだろ?なんか紳士的に振る舞ってるというかんじ?)
(ああ、うん、よくわかる)
宿はすぐみつかったので、入る。勿論他に客などほとんど居ない。戦地に来るよそ者なんぞいないわな。
宿の親父は、だからこそ不思議に思った。
「いらっしゃい、、どこから?」宿の親父
「ああ、少しな、、どうだ?ここの占領軍、かなり紳士面してるみたいだが?」ドーラ
「ああ、ちょいと前までは横暴だったんだけどね、何かあったんだろ、、いきなり変わったよ。まぁ良くなったんだから、いいけどね。いつまで続くか、、」
「・・・やつら、帰るところがなくなったんだよ。」ドーラ
「あ?、、なんだって?」おやじ
「奴等の王都が消滅したんだよ。だから帰るところがなくなった。どうしていいか、奴等自身もわからないんだろ?バカだよな、、とっとと帰って、一番マシな貴族に肩入れして王にさせりゃいいのになぁ。」
「一体、、」
「俺らはその調査に来ただけだ。それより、お前んとこの国王、どうなんだ?いいやつなのか?クズなのか?貴族共はどうだ?そこのとこ、正直に思うことを教えてくれるか?」
「つまり、、、」
「ああ、マシなやつが支配者になるほうがいいだろう?」ドーラ
「・・・まぁ、、そうだが、、。王、ねぇ、、別に不都合はなかったなぁ、、、兵も、こいつら(外の占領軍兵)よりもマシ、時たまアホウが悪事働くだけで、あとはたまに酒たかりに来るくらいだ、、給料安いからな、そのくらいは大目に見ていた」
「不幸ではなかったんだね」ユータ
「まぁ、そういう言い方ならば、そうかもな、、」
「孤児とかは?多いんか?」ドーラ
「教会を廃止してからすぐ王宮管理下になったら、マシになったな、盗みとかしなくなったしなぁ、、食い物がまともに食えるようになったんだろ?」
(これは、うちの方に送ったというのもあるかも知れないので、わからんな)
(行ってみようか?)
(ああ、だな)
「ありがとうおやじ、泊まるかどうかまだわからんので、メシだけくれるか?」
「おうわかった、あまり食材ないからな、ありあわせでいいか?」
「まずくなけりゃなんでもいい」
「舐めるなよ?クズ野菜からでも美味いもんつくってやるわ」
腐ってなきゃいーよ!
あっはっは!
確かにしなびかけた野菜と僅かな肉だけだったが、美味くつくっていた。
カネを払う時点で、
「おい、支払いは金がいいか?肉がいいか?」ドーラ
「なるほど、、」ユータ
「そりゃ、肉がありゃそっちのほうがよほどいいけど、どこにあるんだ?」
ユータがストレージから魔獣を出す、
・・・・これ、いいの?もらって、、、
ああ、いいぜ?
うん、、ありがと、、
孤児院の場所を訊いて、てくてく歩いていく。
途中兵隊らとすれ違うが、兵達はユータとドーラに目もくれなかった。特に女子供には手を出すなとか厳命でもされてるのだろうか。
孤児院はすぐにわかった。その建物だけ修繕もろくにされていないので。
綺麗にはされていたが、修繕する金もないのだろう。
ドアは開け放して風を通している。そうしてても入ってくるロクでなしは居ないということだろう。
治安は、今は悪くはないのだろう。
「こんちはー、入るぞー」ドーラ
奥のドアの陰から子供の頭が出てきてこっちを覗く、それがふたつになりみっつになり、、
「はい、なんでしょう?」と、その後ろからバァさんが出てきた。教会の服ではない、庶民の服。
「悪いな、いそがしかったか」ドーラ
「いえ、特に急ぎでもないので」ばぁさん
「少し話を聞かせて欲しい、あんた、ローマン院長先生って知ってるか?ここの西側の国の孤児院の」ドーラ
「・・ええ、知ってますけど、、」
「なら話が早くてよかった。あんた、いつからここに?教会が滅んだ前からか?あとか?」
「あとです。近所に住んでたんですが、王が教会関係者を追放したので近所に一人で住んでいた私がここを見ろと、王宮から言われて。」
「今まで何人、ローマンの所に送った?」
「・・4人です」
「ありがとな、、うちに着いた子達は、皆元気にやってる。、、おまえらも来るか?ローマンを手伝ってもらえれば助かるんだが、、」
「ありがとうございます。でも、今こんな状態で、私が居なくなったら、、」
「まぁ、そうだよな、、これからも増えそうだからな、、」
「・・ええ、、」
現状から良くなる要因は無い。悪くなる要因は腐るほどあるのに。
「んじゃ、もし、この国が滅ぶとなったら、嫌でも連れて行くからな」
「わかりました」
「んじゃ、俺らは少し話してくる。王は、お前たちの王は、王宮に居るのか?」
「多分、、」
「また後で来る」
ドーラとユータは王宮に跳ぶ。
サーチで王のいる部屋を特定し、直接入った。
王は一人だけだった。
「・・・なんだ、、なんの用だ?」
机に着いていた王は、興味なさげにいきなり現れた2人に問うた。
「うわー、、かなり下がってるね、、」
「うん、もう底つき?」ユータ
「あー、用といってもだな、、おまえ、この国取り戻す気、あるか?」
「何を言い出すのかと思ったら、、まぁ、それだけの魔法が使えるんだ、すごい魔法使いなんだろう、、子供に見えるし、エルフとかか?」
「いや、ドラゴンだ」
そうか、、とつぶやいて、そっぽをむいた王
ぷっ、、くっくっくっく、、
人に化けられるドラゴンが、こんな国の、しかも力を取られた王に何しにきたんだか、、と笑う
「自虐が激しいようですね先生」ドーラ
「困りましたね?いかがいたしましょうか先生?」ユータ
合わせたけど、、最近何のマンガ読んでるんだろうドーラ、、、
「おまえが、国をしっかり経営するんならば、取り戻す。孤児もうまれないような国にしろ。でないと、この国を俺のブレスで焼き払うか、踏み潰す。知っているだろ?東の方のザンざーんす?だったか?あの王都、ひと踏みで潰れたぞ?あの1万だか2万だか兵が居た砦は俺の指一本だったがな。(ホントはミノさんがやった)
国の経営をしっかりする気がない、できない、てんなら、俺達はここを潰す。奴等がここを支配しても我が国に害をなすだけだ。特にこっち側の冒険者ギルドがうちに宣戦布告してきたからな。それに協力する国は敵だ」
と鼻くそをほじくって飛ばしている王に言うドーラ
鼻毛を抜きつつ王は言う
「まぁ、お主、ドラゴニアか、、お主のところと同盟結び、経済と軍で、ウチが独り立ちするまで、、そうさな、2年、援助してくれれば、孤児一人たりとも出ない国にはしてみよう。まぁ、どこでもそうだが、親が死ねば子はまず孤児になる、それは王宮で引取り、立派に成るように育てるかな、、
儂はな、、闘いは弱いんだよ。
聖光国に頼って、他国からの侵略を防いでいた。
が、ゲスザンスとゴーミがいきなり消えてから、均衡は消え去った。」
「いいことじゃないか。今までが嘘くさかっただけだろ?」
「その嘘でしかもゲスゲスだろうが、大半の者達はどうにか平和だった」
「が、聖光国の奴等はやりたい放題だった」
「仕方なかったな、、」
「おまえはいいよ、害を受けない。俺らは害を受けそうになったから、逃げ、しかもそれを放っておいてくれなかった。なので抵抗した。そしから更に攻撃してきた。
クズどもがほどほどを知り、俺達に手を出さずにいたら、俺らはこんな面倒なことをしなかった。
誰のせいだ?」
「・・・・」
「だから、クズを全て殲滅することにした。生かしておけば、また悪さをする。必ずだ。いままで必ずそうだったから。だから容赦する理由はない。」ドーラ
「うちは、、儂は、、ゴンザール国王みたいな人徳者じゃないぞ?いいのか?」
「努力すれば、俺にだって判るぞ?」
そうか、、、
「わかった。私は何をすればいい?もううちの兵を動かせないぞ?解散させられたからな」
「一緒に来ればいいだけだ。占領軍と交渉する。」
ドーラは街に散らばっている敵兵達を一匹一匹潰していくのが面倒くさかった。
なので、追っ払えればそれでいい、と思っていた。
ここの西側、つまりドーラやユータが元いた国を、次に支配する者がまともであれば、ここに来ている兵達にとっても国に帰るほうがいいだろう。
奴等にとってここは、一応占領しているが敵地なのだ。
街を歩くだけでも複数で歩かないと怖いのだ。数人の兵でも、その数倍の者達に不意打ちされたらたまらない。
しかもこの国の軍を解散させた、兵たちは皆平服で街のどこにいるのかもうわからないのだ。
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