第五十四話 やっと到着東の国


翌朝、朝食後、ドーラとユータは昨日遺跡で見つけたこと、起きたこと、などをそのまま報告し、ドーラは思った事を言った。


ダンマスは、知らなかったというよりは、忘れている感じの反応だった。記憶してる事が多すぎるのか?。


ドラゴニア管理の墓所、とすることに決まった。


で、危ないかも知れないので、基本的にはユータとドーラがコンビで行く、のみにした。


その後、

ユータとドーラは再出発。

東に向け、昨日の地点まで転移した。


基本、旅の移動中はドーラはプチドラゴン形態で飛んでいるユータの乗ったり、抱っこされて転移されたりして魔力の無駄な消費を抑える。

それ以外の時は、人型になり、他の人間が見ても怖がったり襲ってきたりしないようにしている。

一方、領地内では気分でw



今、ユータは音速ギリギリ手前で飛んでいる。勿論バリアを周囲全体に張っている。

高度は、ドーラが周囲を余裕で探索できる1000−2000mくらい。見晴らしもなかなか良く、空気も薄くもなく気温もさほど低くも無い。バリア内でも幾分影響あるからね。


昼ころになってやっと先の方に何かが見えてきた。

木々?森が広がっているのだろうか?

2人共、やっとか、、という思いだ。


森の木々がはっきり視認できるくらいになると、ユータは速度と高度を落とし、人の気配を探せる程度にした。


「北の方、かな?南の方にも、だな。どっちがいい?」

「うーん、南かな?」

「俺もそう思う。北は、あの国とか、の方角だもんなぁ、、」

元いた国を東に向かってくると、北の方になる。当然教会の影響だってあるだろうし、、多分ろくでもない。

ユータはそういうことには勘が鋭敏になってきているようだ。

それは、この世界では、生き残りのための重要な技術の一つだろう。


南に飛行していくと、大きめの砦が見えた。

荒れ地と森の間に砦、は、まぁいいとして、なぜでかいの?

と2人共思う。


「ドーラ、荒れ地になんか居た?」

「いーや?俺は何も感じなかったなぁ、、」

「ボクも、、。なんであの砦、あんなに大きいのだろう?」

小さな村が中に入っている感じ。

というか、

村を囲って砦にしてみましたが?

とか言われそうな、、、


「ユータ、とりあえず姿を消して中に入ってみようぜ?」ドーラ

うん、とユータは答え、そのまま姿を消してゆっくり飛んで、砦の上空に来た。


砦の中の村は、普通だった。

人々が畑を耕し、家畜を飼い、幾つか店があり、兵士たちは城壁の上から外側を監視していた。

森側、荒れ地側、どちらに偏っているというのが見えず、全周囲への警戒だと見える。


その砦から森の中に道が続く。

「ユータ、道沿いに東に飛ぼう」

「わかった」


1000mも無い高度を少し飛んでいくと、かなり前方、つまり東の方に、街みたいなのが見えてきた。

2人の姿は消したままだ。


そこも、デカイ城壁に囲まれた街だった。

「まぁ、森に結構魔獣の気配あったからな、、この城壁はそれのためだろう」ドーラ

勿論ユータも感じていた。

ダンジョン5階の、あの最初にやった魔獣くらいのがざらにいる感じ。

ガンダさん達くらいにならないと危険な魔獣。それが多く居る森。


城壁の出入りには門を通る必要があるようだ。ただ、見ていると、さほど厳重ではない様子。

城壁は魔獣から守るためのもの、で、他の危険性はないようだ。


「どうしよう、門から入ってみる?」

「だな、ダメだったら消えて入ればいい。最初は正攻法でいこう」ドーラ


ボクらは少し遠くに降りて姿を現した。


入るのはすんなりいった。

冒険者の証明書で入れた。ドーラはまだ小さく見えるので「まだ登録できないの。ボクの弟」と言ったら、まぁいいだろう、と入れてくれた。その際、入場許可、この冒険者の保護下で。という許可証?の紙を貰った。

そのとき、

「随分若いようだが、よくここまで無事だったな?」と衛兵

「ボク魔法使いだから。弟も魔法がすごいよ」

なるほどな、、と納得してくれた。


この街は、前に居た所の近くの街くらいの大きさみたいだ。

でも

「冒険者、多いな、、」ドーラ

「うん、皆森の魔獣目当てなのかな」

「だよなぁ、、そこそこのが多いからな。」

「森の魔獣でも魔石出るのが多いの?」

「ああ、強くて狂暴なのは、大概魔石になるやつだ。美味しく食えるのは、それほど強くないやつ。」


「おいおい、、こんな若いのに、すげーなおまえら?オークとか普通に狩っちゃうんだ、、」

と、側を歩いていた冒険者のおにい、、おじさん?


「おにいさんくらいになれば、ここいらの魔獣程度なら難しくないよな?」ドーラ

・・・・「よくわかるな、、お前も大したもんだ。流石にここまで来られただけある、って、ところかな?」

「まぁ、、それなりに、ってとこかな。で、俺ら来たばかりで何も知らないんで、よかったらいろいろ教えてくれないかな?飯ぐらいおごるから」ドーラ


「・・・子供におごってもらうってのもなんだ、茶くらいでいいわ。まだ飯には早いだろう?」

「おじさん、いい人だね」ユータ

あ、ばか!(どーら)

・・・おじ、、、、さん、、、がっくしなそのおにいさん


ユータが何度も謝って、少し復活したおにいさん。

近くのうまいケーキ屋で茶を飲もうと、案内してくれた。


席に座って注文してから、

「おまえら、何処から?」

「ずっーーっと、西から。」

「つまり、北側の国を下ってこの国にはいった?」

「いや、そのまんま、西から。」ドーラ

言っちゃっていいのかな?


(大丈夫だろ?バレてもなんてことないだろ。逃げられるし)

(まぁ、、そうか、、)

(騙されない限り、な。このにーちゃんはいいとして、他のやつに広まったときが危険だから、用心はしろよ?)

(うん、、、)


にーちゃんは固まっていた。


「・・・・あの、、荒れ地を?」

「「うん!!」」


「・・・・・どーやって??」

「?飛んで?」ユータ


「え?」

「僕ら魔法使いだから。2人とも」ユータ

・・・・・・

「いやいやいやいや、、ふつー、飛べないよ?」

「そうなの?」ユータ

「いや、俺の周りのは大概飛べたけどな?」ドーラ


「・・・・どこの大魔法使い一族の村出なの?」

「西の?」


めんどくせー、といいながらドーラはおにいさんと消えた。で、すぐに戻ってきた。

「わかった?」ドーラ

こくこくこくこく頷くおにいさん。

上空とかに行ったのかな?


「で、こっちじゃそんなのが珍しいなら、あまり広まったら良くないと思うので、内緒にしておいてね?♪」ドーラ

こくこくこくこく頷くおにいさん


ケーキと茶がそれぞれの分が来て、食べ始める。

おにいさん、少し落ち着いたのか、

「いや、これだけの魔法使いって初めてみたわ、、、荒れ地を抜けてきたってのも納得だ。」

「荒れ地は抜けてくるのは難しいのか?」ドーラ

「そりゃ、、水も食い物もないんだんぜ?」

まぁ、そうか、、


「しかも、魔獣もいないんで、単に時間も無駄になる。他を通れば、獣や魔獣を狩りながら来れるんで、少しは稼ぎになるからな」

「まぁ、そうだなー」


「どうだった?荒れ地」

「まっったく何にもない」

だよなぁ、、(にい)


で、良い宿とか聞いた。

ギルドの場所も聞いた。


あと、

「ここはいいとこがあるんだ、水が豊富なんでな、銭湯がある。お湯がいっぱい使えるんだ。気持ちいいぜ!行ってみな!」

と教えてくれた。


(折角だから泊まろうぜ?)

(うん、連絡入れないでいいの?)

(んじゃ、俺からダンマスに入れる。楽だから。)

ああ、相手も魔力すごいもんね。


ギルドに行って、ユータのストレージにある魔石を幾つか売った。普通の魔石のほう。スラえもんの魔石だと目をつけられてしまうかも知れないんで、「目立たないように」とドーラが。


こっちのお金も向こうのとほぼ一緒に見える。硬貨に打たれている絵が違うだけ。

聞いたら、ほかの国の硬貨も使えるとのこと。「少しだけ価値が落ちるけどね」とのこと。


宿は清潔だった。あのおにいさんのおすすめは当たりだった。

で、下の食堂で早めに晩メシを食べていると、おにいさんが入ってきた。

「よう、おまえらもここにしたのか。俺もここなんだ。メシウマだし、清潔だしなー。銭湯にも近いんで便利だ」


おにいさんも一緒になって食事をし始める。

名前はジョニー。

僕らはそのままドーラとユータと名乗った。


もしよかったら、一度一緒に狩りに行かないか?と言われた。

ジョニーは基本単独とのこと。

(人が良さそうなんで、俺らが子供だから心配なんじゃないか?)ドーラ

(うん、ちゃんと見せておくほうがいいね。)


明日、少し森に入ってみよう、ということになった。


夕食後、銭湯に行ってみた。

冒険者が多い街だからか、でっかい銭湯。湯船もいくつもあった。


風呂を上がって部屋に帰ってから、地図に書き込みをした。だいたい、だけどね。

森の端の砦、底からの道、そしてこの街。

少しづつ、僕らの国の外側がわかってくるのは、楽しい。

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