第四十話 ドーラ、人間界デビュー、まずは日本で。


日本の家に夜中に帰って、食堂のテーブルにヒモノを乗せておいた。

明日は土曜日、道場に連絡して日曜に行こうかな。

あ、ヒモノを少し持ってってあげよう。


ヒモノとか干し肉とかは、いざという時用にストレージに少し確保しているユータ。

どういうシュチュエーションを想定しているのかは、誰も知らない。




翌朝

ドーラが先に起きていた。

ボクが起きたらドーラは漫画を読んでいた。


「ドーラ、明日、道場行きたいけど大丈夫?」

「あ?焼き肉?あー、いいかもなー」


ドーラの中では、焼き肉を食いに行く、になってるんだなー

なので、市さんにメールした。

速攻返信が来た。「お待ち申しております」と。


「お!干物の匂いだ、、早速焼いているな!食いに行こうぜ!」

「・・・・・」

「どうした?」ドーラ


「ねぇ、ドーラって、人間のかたちに化けられる?」

「・・なるほど!!いいな!今からか?」

「いや、朝ゴハンの時に聞いてみる、知り合いの子連れてきていいか?って」

「よし!それでいこー!!」




で、朝食のときに父さんと母さんに聞いてみた。

ヒモノのおうちの子が、街に出たこと無いので出てみたいそうな。

でも知り合いがいない。なので、少しうちにおいてくれないか?と。


「いくつなんだ?」父さん

「・え、ボクと同い年くらいだって、、」

「学校は?どーすんの?」母さん

「行っていないって、田舎すぎて中学だけで、、」


「「・・・・・・・・・・・・」」


「まぁ、とりあえず連れてきなさい、、、」父さん

(かわいそう過ぎねぇ、、)母さん



部屋に戻ってゴロゴロし始める。


「うまくいったなー」ドーラ

「うん、明日、道場からの帰りに人間に化けて帰ってこようね」


「ああ、やっと堂々と飯が食えるか!」

「あ、明日、道場行くときも化けてっちゃっていいんじゃないかな?」

「おおお!!そうだな!!堂々と焼き肉食えるぜっ!!!」

食うことしか考えていないなードーラは。


「いや、だってこっちの味付けのものって、こっちでしか食えないもん!!」

「まぁ、、味付けに関しては、向こうはシンプル過ぎるからねー」

「それはそれでものすごく美味いんでいーんだけどな」


・・・・・名前だ、、

「名前、どうしよう?」ボク

「・・・・ドラたろう、ド*エモン、」

「却下。・・猫田竜雄(ねこた・たつお)かなー」


「どーゆー?」

なので紙に漢字を書いて見せる。

この程度の漢字は漫画でよく使われてる字なので、ドーラには読める。


ドラ、だから、猫。

たつ、は竜だし、お、は英雄(えいゆう)のゆうの部分。

と説明した。


「おう、ぴったりだな、俺様にふさわしい!!」ドーラ

気に入っていいてだけて、何よりです(棒)。なんか少しだけ騙した気がするユータ。

名前が安直すぎたからだろうかw


「あ、ユータ、魔力満タンにした魔石ある?あったら2−3個くれ」

あ、いざって時用ね、、

渡したら、ドーラ、ストレージもってたんだね?しまってた。


「ん?今作ったんだぞ?」

・・・・・・・どんだけだろーか?ドーラ、、、


「あのなぁ、、何百年か何千年かもうさっぱりわからないくらい生きてきて、まぁ再生も何百回もしているけど、、で、暇持て余して、仲間たちからいろいろ聞いて、暇だからどんどん覚えてきたんだぞ?

できないことがない方が珍しいくらいんじゃないか?とか思わない?」

・・・・・

「・・そー言われると、そうなのかな?」

なんかそう思えてきた?


素直すぎるのも、、危なっかしいなぁ、、と思うドーラであった。



昨日まで2人してよく働いたので、今日は部屋でごろごろしてよーぜ、と、2人で漫画読んだりネットで調べものしたりしていた。




日曜日

「たのもー」ユータ

ガラッつ!!


「いらっしゃいま・・・・誰?」市さん

「おっす!おらドーラ!!こっち名、・・・なんだったっけ?」ドーラ(竜雄)

「いやだなー、猫田竜雄でしょー」

「おう!猫田竜雄だ!!」

・・・


「あ!!師匠の師匠!!!その声はっつ!!!」市

「だいせいかーい!!!」竜雄



まず、記念に、と、ドーラが市さんの相手をする。

が、何もできずにバテバテに成るまで、一方的にスカる攻撃だけさせられて。

当たらない攻撃ほど無駄なものはない。攻撃側はバテるだけで、相手は体力使わないしダメージゼロ。


少々休憩後、ボクと市さん。

ボクは受け流す。魔獣のときと一緒。

受けながして懐に入って、一撃あてるんだけど、市さんにそれやったら死ぬんで、そっと充てるだけ。それでも少し削っちゃう。


20分ほどでバテバテになったので終了。


休憩はさんで、それを昼迄やる。


市さんが、2時まで続けて、それから焼肉行きましょう、って言ったんで、そうする。

「いや、今日は夕方までとても持たないんで、、」と。

ドーラ相手はきびしいんだねぇ、、。



休憩の時にドーラに聞いてみた

「ねぇ、回復とかできるの?」

「できるぞ?」

「どのくらいまで?」

「すぐであれば、、原型がある程度あれば元通りだなー」

・・・・・・・すぐ?、、何が、すぐ、なの・・?


初めて聞いたんですけど?

「すごくない?」

「まぁ、、言ったろ?できないことは無いくらいいろいろ覚えたって。」

いや、それにしたって、、、、まぁ、、そうなのかな?


「あ、じゃー、最初の時のやつらも・・」市

「あ、ユータに敵対する奴は、目の前で死にかけでも死んでも指一本うごかしてやらねーぞ?」

・・・・・・

「ユータも、敵に情けをかけるなよ?そんなことしたらぶっとばすかんな?」

「うん、わかった」


「大体だな、ユータの敵に成るやつはゲス過ぎるんだよ。生かしておくだけでも世の害悪なんだから。特に小狡いやつなんざ、その場で燃やしきって灰も残さないようにしたいくらいだ。

おまえも、そのくらい怒れよ。ほんっと怒りを知らない子は、困るよね。

そんなんじゃ、いざという時、仲間を死なせるぞ?

仲間が死ぬ前に、怒りを出して、敵を殲滅しろ。わかったな?

仲間が死ぬ前に、敵を皆殺しにしろ。でなきゃ、ユータ、あの仲間が殺されるんだからな?」


ドーラが言うんだ、間違いは無いんだろう。

ボクは怒れるんだろうか、

いや、やらなくっちゃ、皆が殺されちゃう。


「おまえがビビって動かないあいだに、皆が殺されちゃうところーイメージするんだ。いろいろ状況、場面をかえてやってみろ。そのうち、本気で怒ることができるかも知れない」

ドーラ。


市さんも黙って聞いていた。



それから焼き肉にいって、ドーラは腹いっぱい、喜んで食べた。デザートも結構たのんで食べきった。

「市!ありがとな!!。体を持ってこんなに食べられるって、気持ちいーなー!!!」ドーラ


「いえ、喜んでもらえて、光栄で、、、。俺、、舐めていました。」市

「「??」」ボクとドーラ


「先程の、竜雄さんの言葉、ユータさんに言った言葉で、、あなた達がどんだけ過酷な世界にいるのか、わずかにしかわからないんだろうけど、そんでも少しはわかりました。

俺らは生ぬるいことしかできない、この世界、この国ではそこが限度だ。それ以上は特別に許された奴らしかできない部分になる。そいつらだって、あなた達に比べりゃ、生ぬるくって笑っちまう程でしょう。


そんな世界で、いろいろなさってるんですね。

尊敬しますっ!!

そして、ものすごく、羨ましいです!!」

悔しさと、羨ましさと、情けなさと、あこがれと、ほか、いろいろが混ざりあった顔を、上げ、羨ましいといい切った市。


「まぁ、、今は物理的に無理だけど、、、もし、おまえが向こうに行けるくらいになったら、そんときは、、一度くらいつれてってやるよ」

と、その顔を見て、ドーラが言った。

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