第十話 友人のタカ
ボクはユータの友人タカ。幼稚園の頃からユータを知っている。
ユータが随分変わってしまったので、その一部、ボクの知るところだけでも語ろう。
ユータがのんびり天然ボケなのは昔も今も全く変わらない。もしかしたら普遍とはあーゆーのかもしれない、というほど昔から今日まで全く変わらない。
ユータがいじめられなくなってから、ユータに変化が出てきた、、いや、いじめられなくなった直前の変化によって、いじめの対象からはずされたのか、、
その頃のユータは、何かに気を取られまくった毎日だったと思う。多分、何かを食べていても、自分がなんかを食べているということすらわかっていなかったんじゃないだろうか?
そんな日が続いて、
また、ある日からいきなりその感じが全くなくなり、なんか活気が出てきてて、、また全く変わった。
以前いじめていた奴らは、別人に変わったんじゃね?エイリアンに体乗っ取られたとかさぁ、、あーゆー感じだろ?
などと言っていた。が、、そのくらい変わった。
でもユータ自身は全く気付いていない。言っても、「そうお?」くらいで、全く気にしない。
以前だったら少しは気にしたはずなのに、、、
それだけではない。
ある日、
体育の時間、
砲丸投げの玉を用意しておくように、と言われた体育委員が僕らにそれを押し付けた。すごく重いから。
普通、そのかごに入っている砲丸を2つくらい手で持って、校庭まで運ぶ、何往復かする。
けど、そのときは
「・・・・・」ユータ
なんか砲丸の入った鉄カゴを見ている。
手をかけ、おもむろに「よいしょっつ!」
あー、、なんか、、持ち上げて、、、ととととって、、足早に校庭の所定の場所に、、ドッスン!!
半分めり込んでるよ、
帰りに商店街に寄って買食いとかしているとき
そばでオバァさんが男にどつかれて倒れた
あっ!って、ユータが駆け寄って、その時どついた男がユータに気づいて手を出したんだが、ユータは無意識にそれをひょいって弾いた、、、はじいた男の腕はものすごい勢いで男の本体をも引っ張って飛んで、まさに飛んで!、向こうにあるビルの壁にめり込んだ。二階と一階の間くらいの高さに!!
「おばーさん大丈夫?」 ユータは何も気づかず、おばーさんを助け起こしただけだった。
でも、この優しさからの行動をするのはユータだ。中身はちゃんとユータなんだ。
翌日、下校の時にその商店街の近くの交差点で信号待ちしてると、横断歩道の向こう側に全身包帯男が両脇からごっつい男たちに担がれ、こっちを指差していた。その男たちの周囲にも大量の似たようないかにもヤクザ的な、、
信号が変わり、ユータは何も気にせずに渡っていく、、ボクは足がすくんで動かなかった、、漏らさなかっただけ偉いと褒めてもらいたいくらいだ。勿論声など出そうとしても全くでず、思いっきり焦った、ユータが歩いていってしまう!!
が、
ユータがあいつらに近づくにつれ、あいつらに動揺?が起き、、ユータが横断歩道を半分以上進んだ時には、もうばらばらっ!と逃げ出し始めていた。奴らは、身動きできない包帯男だけ残し、逃げ去った。
信号が赤になった。
ユータが、ボクに気づき、道路の向こう側から「タカ!どうしたの?」
「ああ、ごめん、ぼーっとしていた!」ボク。どうにかそれだけ声が出た。
ユータの足元の近くに座り込んでいる包帯男のそのあたりから水みたいのが広がっていっている。
ユータと包帯男の間に信号待ちの歩行者が2人ほどいるのでユータは気づかなかったのが幸いだろう、包帯男には。
人の良いユータだ、気づいたら保護しようとするだろう、、、
ユータとボクが下校時に、また買食いで、駅の近くにまで行った時、定期を拾った。
駅に交番があるので届けようということになった。
交番に入ると、中に座っていた警官が一瞬で顔色を変え飛び上がり後ずさり、右手はホルスターのベルトを外していた、、、
「これ、落ちてたんですけど、、」ユータ
警官の目はユータに釘付け、心臓もうごいていないんじゃないか?というほどフリーズしている。
「???あの、、」ユータ
「ユータ、この人、、なんかアレらしいんで、、怖いから、、駅員に渡せばいいよ、、そのほうが早い、駅なら持ち主探しやすいし、、」
「うん、じゃそーしよう」
駅員は普通に受け取ってくれた。
あの警官の反応が、横断歩道の向こう側に居た連中の反応に似ていたのは、、、怖い考えになっちゃうから考えないようにしよう。
ゲームセンターで、人気ゲームに並ぶと、前に並んで居た人たちはみな僕らに譲ってくれて、やっているひとも中断して譲ってくれる。逃げていると言う者もいるかもしてないけど、多分、譲ってくれているんだ。
けど、スーパーで僕らが菓子パンを持ってレジ前の列に並んでも、おばはん達は逃げていかない。
なんか法則あるのだろうか?
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