第三話 冒険者的兄妹達
ダンジョン一階から出たら、外は森だった。
外から見たら、ちょっとした崖下の端に空いた穴ぼこ、としか見えないようのが、ダンジョンの入り口だった。
よくこんな目立たないのを発見したもんだなぁ、、
ただ、踏みしめられた車も通れない程度の細い道がダンジョンの前から森の奥に向かっていた。その細い道には草が生えていない。頻繁に使われている、ってことだろう。
今はまだ朝は明けたばかりの感じ。鳥の声がそこここで聞こえる。
「うん、近くには何もいなさそうだね、じゃ、行こうか」マキ
「周囲に何か居るって、マキはわかるの?」ボク
「あ、さっき小鳥がそこここで鳴いていたろう?」
「あー、なるほど、、」
鳥は人が近づくとすぐ逃げていく。多分、獣や魔獣でも逃げるってことなのだろう。
何事もなく、同じような森の道を進み、太陽がてっぺんになった。
「ここらで少し休憩しよう。森のヘリに近づいたら何か出てくるかもしれんからね」マキ
「なにかって?」
「うん、森のヘリは人間が採取に来るし、森の向こうの村などに家畜が居るだろう?
大きめの獣や猛獣にとっては、それらは良い餌だからな。」
・・・・・「なるほど、」
干し肉と水を貰って食べ、食後の休息。
「あ、!」
「・・!」
ボクとニヤは同時に反応した。
「サーチ!」テイナ
「3体、歩行ほどの速さでこちらに、道あたりを通ってこちらに近づいているわ。ひと、っぽいわ。」
僕らは音をたてないように静かに、ダンジョン側を背に見て左手の茂み奥に隠れた。
「・・・・・・」
声?
「・・な・・・だろ・・・から・・」
人の声だ。
ボクが無意識に立ち上がろうとしたのだろう、マキがボクを抑える。
「しっ、まだだめだ、人でも危険な奴らもいる」
・・・・・
ちょっと遠かったが、なぜか顔つきまでよく見えた。まじめそうな顔な青年とごっついおっさんと、おっさんか青年の間?の普通の顔の、警戒している顔つきの男。
ザン!「ガンダさーん!!」
マキが突然立ち上がって、声を上げ、手を振った。
テイナもニヤも立ち上がったのでボクも立ち上がる。
「おー、マキ達!なんだ、来てたのかー」
皆彼らのところに向かったのでボクも。
ーー
まじめそうな人はガンダ・ムゼット。名字があるように元貴族のムゼット家の5男だそうな。
ごっつい人はザクトさん。最後の「ト」を口の形にするだけで音を発しない消音文字としてもよいらしく、他の人が呼ぶときは「ザク」に聞こえる。盾を背負っている。
警戒していた人はジオナシム、Gionasim なので、Gion、Gio、ジオン、ジオ、と呼ばれるらしい。ボクにもジオでいいと言ってくれた。ジオと呼ぶときは、皆呼びにくいのでジーオとなるみたい。ジオンと呼ぶときは最後のンが小さくなるので、こっちのほうがジオに聞こえる。外人の名前の呼び方って、難しいね。
ボクの名は「ウータ」と聞こえる人もいたようだ。「ユータ」でも「ウータ」でもわかるから、どっちでも良いです、と答えておいた。こっち名で「ウータ」とか、いいかも。
皆ぼくと話をするときは、ボクを見ずに頭の上に視線を送っている。人気者だなスラえもん!
マキ達を見ていると、なんかガンダさんたちはマキ達のお兄さん的位置にいるみたい。
ガンダさん達も、妹たち、って感じに扱っているように見えた。
話題がボクのことになってきた。
「んじゃ、ウータを登録して、装備品揃えて、またここ来るのか?」ガンダ
「うん、少し消耗品が足りなくなったからね。今回、まぁそこそこ稼げたし、、」
「その顔、まだ狩り足りなかった、て顔だがなぁ、、、」ジオ
「・・・うー、ちょっと5層目のが強かったんだお、、多分あれボスだから、、」マキ
「「「・・・」」」男性3人
「ユータ、あの魔石、ちょっと見せてくれる?」マキ
「うん」とボクは懐から出してマキに渡す。
「ほら!」とガンダさんに渡す。
「「「ほう」」」男性3人
「確かにこりゃボスだろうなぁ、、。」ジオ
「で、どうやって倒したんだ?おまえらじゃ、これはー、厳しかったろう?」ガンダ
「うん、やばかった。ってとこで、颯爽とユータが現れて、ズバッ!!っと一撃」マキ
ほう!と3人に見られる
「いや、そんなにカッコよくなかったと思うけど、、、」ボク
「「「いやいやいや(にゃ)!!!」」」女子3人。
「胸を張れ少年!漢はおなごを守るもの!それができたのだから、胸をはってればいいのだ!」ザク
はぁ、、
「ん、でも、まだユータは自分の実力とかよくわからないらしくて、、魔法なんか先程初めて使ったありさまだよ?」
「へぇ?」ジオ
身なりといい、、あれかな?とつぶやくガンダさん。
「秘密にしてね!」マキ
「わかっている、当然だ。」
「ああ、冒険者で王族や教会に味方しようなんてやつぁ、いねーよ」ジオ
「あ奴らこそ、討伐してやりたいわな」ザク
そんなに悪党なんだ、、王族と教会って、、
「ただ、街の奴らには気をつけないとな、犬がさくさんいる」ジオ
「犬?」
「教会の犬、王家の犬、さ」
ああ、なるほど、、
「・・・・、どうだ?俺らと一緒に少し潜らないか?消耗品は共用でいいよ。俺らもウータの腕を見てみたいし、使えるなら少し鍛えてみたい。そのほうがお前らの安全になるからな、どうせお前らのパーティーに入れるんだろう?」ガンダ
「ガンダの兄貴はすべてお見通しかよ、そうだよ、登録して冒険者になったらパーティに入れる。そして、装備揃えて戻ってこようと思ってたんだ」マキ
「んじゃ、ウータは剣持っているし、消耗品は俺らは来たばっかりだから余裕。お前らのと合わせりゃ、7人で数日はいけるよな?6階層、7階層くらいまで行って引き返す、ってくらいかな?」ガンダ
「俺はそれでいい」ザク
「おう、いいぞ?」ジオ
・・
マキは仲間を見る、女子2人はこくりと頷く。ボクを見るマキ。ボクもうんと言う。
「じゃ、、悪いけど、お願いするわ。」
「あー、いいぜ、お前らなんだから、俺ら兄貴連中には遠慮するな!な?」
「「おう、」」ヘラヘラヘラ、良い顔で笑う3人。
いいな、いい仲間持っているんだな、、、とても暖かさを感じ、また、とても羨ましかった。
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