第二話 拾われたボク。帰れない?!
寒くないので焚き火はない。しないらしい。
明るいものがあると、目がどうしてもそこに向いてしまう。そのときに何か起こったら、目が暗さに慣れていないので危険だ。なので、必要がなければ焚き火はしないほうがいいそうだ。
「ティナさん?」
「テイナでいいよ、私もあなたを裕太と呼ぶから」
「テ、ティナ、、転生者って知ってる?」
「ええ、勇者とか、召喚魔法で呼ばれて異世界から来る者でしょう?」
「、、、召喚以外で転生者いるのかな?」
「・・・聞いたことないわね、、でも居ても、自分からあまり名乗り出ないんじゃないかな?」
「なぜ?」
「城や教会に連れてかれちゃうでしょう?どうなるかわからないわよ、あんなとこ連れてかれたら」
「そうなの?」
「噂でしかしらないけど、、結構ひどいみたい。普段でも王族や教会の者達は横暴で凶悪だからね、だから噂も信じちゃうよね」
しっ、、ティナが突然小さな声で。
ボクは固まる。
何か音がする、ずりっ、ずりっというような、、それほど大きくはない
「ライト」テイナが小声で
その音の発生するとこの上に、光の玉が浮かんだ。
「スライム、、」
一匹のスライムだった。
「しかも、これ、ひとには全く脅威にならない珍種!安全無害な無色よ、珍しい」
「へぇ、、じゃ、飼える?」
「は?スライムを飼う?なんで?」
「・・かわいい?」
「・・・・・そうか、な?な?、、んーーーー」
考え込むティナ。その姿が同級生くらいに見えたので少しおかしかった。もちろん笑うことなどしなかったけど。
「スライムって、何食べるの?」
「無色は草とか、かな?」
ボクはそこらの草を取って、スライムに、、口がわからない、、、横にずいっとおしつけたら、その部分がパクッと草を食べた、次の瞬間、もうその口は消えていた。
ほう、、なかなか、、
「面白いね♪」
「・・・君、変わってるねぇ、」
「そうお?無害で、餌は草でいいんだから、ペットとしてはかなり楽だよね、世話。」
「まぁ、、犬猫よりも楽だけど、、、,無色っても魔獣を、ペットねぇ、、?」
まだ悩んでいた。
そうこうしているうちに、マキとニヤが起きてきた。
干し肉を食べ水を飲み、出発する。
ボクは学校と家が気になったが、今更どうしようもない。それよりもボクの今後が気になるだけだ。
スライムを僕の頭の上に載せると、うまく自分でバランス取っている様子。
それからの帰路ではあまり魔獣は出なかった。出てもマキがほとんど一人で1,2撃で片付けていた。マキはかなり強いんだろうな。
2度ほど、「裕太、やってみて」とマキに言われてやってみた。
最初と同じ上からの斬撃、次は突き、両方共一撃で魔物は消えていった。
「ふむ、、相当強いが、、、あれだね、基礎がなっちゃいないね。力押しだけだと複数の敵に囲まれた時にやばいぞ?」
「うん、ボクもそれ、わかっている。でも、教えてもらったことないから、、」
「そうだな、そういう機会があれば、強い者から教えてもらうのがいいだろう、
でも、機会がなければ、誰かの戦いを見まくるってのも鍛錬につながるぞ」
「なるほど、、」
「君の素性がわからないからまだ約束できないが、もし、君が危険人物ではないとわかったら、うちのパーティーで迎えてもいいとボクは思っている」
「私もいいわよ」
「俺もいーにゃよ」俺と言っているが、ニヤは一応女子だ。
「危険人物?」
「そう、王宮や教会から追われていない、ということ、かな?最重要は。」
「たぶん、それは大丈夫、かな?王宮やら教会なんてまだ行ったことないし、誰にも会ったことがない」
「・・・誰にも会ったこと無い??、じゃ、どこから転送されてきたんだ?」
ここらが安全そうなので、休憩を入れようとティナがお茶を入れ始めた。
僕らは周囲を警戒しながら、岩の影で立ち話を続ける。
「・・秘密にしてくれる?」ボク
「・・わかった、その約束、守ろう」マキ
「たぶん、他の世界から、来た」ボク
「・・・まぁ、、なんとなく、、普通ではないな、とは思っていたが。
じゃ、今の所、テイナとニヤにも黙っておく。知っているのは私だけだ。」
マキも「私」ということもあるのか、と、全く関係ないところに気が行った
「大丈夫かな、王宮と教会。」ボク
「ばれなければ大丈夫だろう。だから、うちのチーム以外の者達に怪しまれないようにしないとな。
街に着いたら着るものをもすこしマシにしよう。それでかなりこっちに紛れるだろう。」
「あ、ボクお金ない、、この魔石でどうにかなるかな?」
「ああ、それはもっておき、、いやギルドで換金しておいたほうがいいか、、着替えたら冒険者登録し、換金しよう。」
「ボクでも登録できるのかな?」
「まぁ、できない者を見たことないからなー、」
「お茶、はいったよー」
「「はーい」」
ニヤは猫舌なので飲まない。水を飲んでいる。
ちなみに僕はスライムのことを忘れていてけれど、スライムは戦闘中も座った時も、しっかり自分でバランスを取っていたようだ。
ボクが出てきたのは5階だとマキは言った。
そこから階層が一段上がる(戻る)毎に、楽な魔獣になってきた。
時たまアンデットが出て、その時はテイナが活躍した。
「裕太、お前は魔法は使えないのか?」マキ
「わからない、、」ボク
「そっか、、」
一階層にやっとたどり着いた。
ここは広いので、出口にいくまでかなりかかるので、今居る所で休憩、ひと寝入りしてから出ようということになった。
マキはティナとニヤにスープを造ることを頼んだ。
「ちょっと裕太が魔法できるかどうか、ためしてみるから」
と、ボクを2人から少し離れたところに。
「この辺でいいだろう。ボクも少しは魔法を使えるんだ。むしろ全く魔法を使えない者の方が珍しい。
ほら、」
とマキは指先に火を灯した。
「どうやるの?」ボク
「、、、どうって、、指先にこう、火をともそう、、って思うだけ?」
「・・・ぬぅーーー、、、・・・・でないね、、」ボク
「どうしたら、、やっぱりティナに聞いたほうが、、」マキ
ポッ、火が灯る 「できた!」
「おお、やったな!」
マッチを指でする感じにやったらできた。マッチを使ったことあってよかったー。
でー、、ガスバーナーだとしたらー、、
ボボボボボー!! おーすげーー!!
でー、念願のファイアーボールは?!
ぼーん!ぼーん!ぼーん! 出たッ!!!
「ほーーー、、、今、初めてなんだよな?魔法、、おい、裕太」
「え?ごめん、初めての魔法が楽しくって聞いてなかった、何?」
「・・・おまえ、本当は魔法使いなんじゃないか?」
「なんで?」とイイながら、徐々にでかいファイアーボールを出してく。
「ああ、もーいいから、あまり派手にやるとまずい、、」
「わかった。んじゃ、水ぅー」 じゃばじゃばじゃばじゃば、
そこら中の地面から噴水のように吹き出る水。
マキは口をあけっぱなしにして呆けてしまった。
「スープできたよー」
ハッ!と我に帰るマキ。
スープを飲みながら、干し肉をかじる。
「なんかファイアーボール撃ってたね?さっき」テイナ
「なぁテイナ、おまえって水をそこいらから噴水のように出せる?」
「えー、なにそれ?意味ないからやったことないけど、、、どうだろう?
ちょっとまって、」
考え込んでいる。なぜ考え込むのかボクにはわからないけど、魔法使いとしてのなんか理由があるのだろうか?
口の中でなんかもごもご言い、「これでいいかな?」とテイナ
えい、と手をかざす。
しゅーしゅーしゅー、と向こうの地面の数カ所から噴水のように細い水が花のように広がって出る。
「おーきれい!!」ボクのより数段きれいだ。
「・・なるほど、、テイナがやると、魔力を節約してなおかつ美しくなるんだな」マキ
ああ、そういうことか、、ボクは素人だから、、、習わないとあーはできないんだろうなぁ、、
と思って、もう一度チャレンジ、えい!!
しゅーしゅーしゅー
「あ、できた、、」ボク
「ずるい!私が式考えたのにーー!!」テイナ
え?式?
「ごめん、、、でも、、式って、何?」
「「「・・・・」」」
「こりゃ、全部最初から一式叩き込まなきゃダメだなぁ、、」マキ
「でも、なんでできるんだろう?わけわからない、、、」テイナ
「獣人並にゃんじゃにゃいか?」ニヤ
「「あー、、」」
ボクは人型獣人らしい、、、なわけあるかい!・・かな?
ボクの頭の上のスライムは、ボクが寝ているときはどっかに行くようだ。餌でも食べているのだろうか。
ニヤが教えてくれた。
でも、なぜか出発前には戻って来て、ボクの頭の上に乗る。
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