5 選択


 雑なように書いてみよう。


 踊っていた。しかし心は参っていた。酒でも飲まずにはちょっとやって居られなかった。心の動きと脳の働きがない交ぜになり、私はじっとしてしまった。

「困ったことが沢山ある」

「楽しみにしていることが山程ある」

「面倒なことが無数にある」

「笑えることが大いにある」

 などとレコードを聴きながら思っていた。訳のわからぬミニマルテクノミュージックだった。


 労働がしんどい。

 働かなくては生活が難しくなる。


 これの繰り返しだった。


 私は皆で踊りたかった。皆で酒を飲みたかった。友達に会いたかった。悲しくなった。今はひとりで、仕方がなく酒を飲んでいる。限りなくわびしい。

 心の底とはどのあたりだろう。私が考えているよりもっと奥のほうか。沈殿している言葉の泥は綺麗に洗浄できるだろうか。それが無理なら溜まっている泥はさっぱりと削除できるだろうか。消すことのできる問題だろうか。


 半分は米、半分はいくら。やはり酒を飲もう。

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