第27話 今日も胃腸炎
今日もと言ったら語弊があるが、赤ん坊の時から胃弱だった。
毎年、ストレスと疲れで6月から8月にかけては恒例行事のように、どんなに体調管理しても胃腸炎に罹る。
そして、腹立たしいのは、両親共に胃腸が強く毎年、胃腸炎は私のみに罹り地味で辛い7日間を過ごす。
20代の終わりに、母親の病気の看護で体を壊し倒れ、救急車で近くの総合病院に運ばれた。
もともと体が弱い事は、以前書いたが、深夜に眠れず、過呼吸もちのため、胃腸炎とのトリプルパンチで、朝の6時に倒れた。
体は高熱と過呼吸で動かず、睡眠不足がたたりどうしようもなく、救急車を呼んだ。
何度も母親が倒れて、救急車を呼んでいたので同じ救急隊員の方が来てくださり、家の状況を知っている方がいた。
呼吸の出来ない恐怖と体が動かない私は、体が硬直しながらも(過呼吸を起こすと体内の血中のアルカリ性の濃度が、空気を吸いすぎるため高くなり、血流がうまく手先、足先までいかず硬直しだす)泣いていた。
ほとんど、うつぶせの状態で倒れていたため、うろうろしている父親が邪魔だったのか、いつも来る救急隊員の人が(20代後半くらい)が「お父さん、邪魔です!お嬢さんは私が支えますから、どいて下さい!」と珍しく声を荒げていたのを、遠くから聞いた。
名前、聞いとけば良かった(違う)
一人でうつ伏せの私を、背中を支えながら上向きにして呼吸が楽な位置にしてくれて、背中を両足の太ももで支えていた。
「怖い、怖い」と無意識に泣きながら言ってたのか、「僕とお話しよう、呼吸が楽になるから」と気をまぎらわせてくれる。
近くにハムスターの本が置いてあったのを見たのか「ハムスター可愛いなあ、どこにいるの?僕も5匹と暮らしているよ」と話してくれた。
今思えば、とっさの白い嘘だったと思う。
当日暮らしていたハムスターが、いる方角を指すと「可愛いやろ?小さくて」と言ったので、何だか少し笑っていた。
アルカリ性に傾いた、手と足は氷のように冷たく自分では動かなかったが話しているうちに、少し動きだした。
やっと搬送先の総合病院に許可がおりると、真冬だったため、上着を器用に着させてくれて、毛布にくるみ運ぶためのシートのようなものでくるまれ、運ばれる。
あたふたした父親がうろうろしていたのか「お父さん、邪魔!どいて!」と怒られていた。
搬送後、病院で念のために検査を一通りしてもらい、とある経過観察の病気まで分かり、倒れたのは過労と胃腸炎と診断され、点滴をうち、何とか帰宅した。
あの時、救急隊員の方がとっさの判断で話し続けてくれなかったら、ずっと泣いて私は恐怖のドン底だったと思う。
よく昔から、医者や人を助ける人を仁医と言うが嘘ではない事を痛感した。
中には酷い医者を母親を通して、腐るほど見たが良い医者もいる。
病気を診るだけではなく、その人を人として見てくれる医療従事者の方には感服する。
救急車で運ばれるまでで1番痛感した事だ。
だが胃腸炎は、毎年やってきて地味に今日も辛い7日間を過ごしている。
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