第7話 今日も独身

恋愛が苦手だ。

と言っても30代の私は数少ないながら、それなりの恋愛をした。



有り難いことに、私の家の複雑な事情までひっくるめて受け入れてくれた優しい方だったが、その方の転勤と私は私の家の事情で、お別れをした。



私の同級生ともなれば、すでに20代から結婚している人がいる。



独身の私は、「ご結婚おめでとうございます」と久しぶりにあった同級生に言ったら、彼女はファミレスのサイドメニューのポテトをフォークでつまみながら、伏し目がちで言う。



「ありがとう。でも籍を入れただけで結婚式もしてないし、生活は変わらないよ」

幼児期から冷めている、私より彼女の目は冷めていた。



帰り道、夏なのに何だか寒かったのを覚えてる。



私の母親の友人の娘は、私と同世代だが2人の子供がいるが、離婚するしないで揉めては3人目が産まれていた。



人生は、不思議で満ちている。



親戚の結婚している人の話を聞いても、年齢を重ねれば重ねるほど、兄妹の相続争い、離婚、別居のオンパレードだ。



ネズミが主人公の某夢の国だって、こんなに激しいパレードはないだろう。



私も20代の終わりには、結婚ラッシュでさすがに焦った。しかし、最初にお話したように恋愛は終わりを告げ、周囲から聞く結婚の話は、かなりハードだ。



ミッション:インポッシブルのトム・クルーズ並みの覚悟と体力と心理戦が問われそうだ。



胃弱で体力は中程度で疲れてくると心理戦どころか軽く無言でぶちギレる私はトムにはなれそうにない。


まず、結婚するには筋トレから必要だ。



だいたい内向的で、マイペースで時々、周囲がドン引きする程の猛スピードで走り出す私と暮らしてくれる人が見つかりそうにない。



泣きたい。トムへの道は長そうだ。



だいたい、独りの時間が好きな自分が人と過ごす自信がないのを自信を持っていえる。




私はすでに周囲から聞いている数々のミッションをこなし乗り越える結婚話からすでに独身を希望しているのでは。



いや、希望は捨てまいとした時、軍隊式の教育方針の上官の父親が私の心を砕いてくれた。


軍隊式の地方出身の父親は、いまだに私の結婚を諦めない。


私が趣味として、囲碁が得意なため、「囲碁サロンにでも行ったら仲良くなったおじさんが息子さんを紹介してくれるかもしれない」と世迷い言を言う。


息子じゃなくて、父親と同じくらいのそのおじさんに好かれたらどうするのだ。


両親の介護に夫の介護までオプションでついて来るではないか。ミッションが多すぎる。



さすがにトムでも、この介護ミッションはこなせないだろう。



いや、そこは金で彼は解決できる。




ある日、祖母に何で祖父と結婚したのかと聞いた事がある。


無言の後、祖母は何事もなかったかのように「夕食食べましょう」と言った。



ある日、母親に結婚とは何かと聞いた事がある。


「人生ね・・・」


いやいや、私も不器用ながら人生を生きていますが・・・。



とりあえず、結婚はミッションの連続だだと思もうため、今日も私は独身だ。










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