ゴーストリテラシー

ろうと

第1話

現代のサブカルチャーの代表とされるテレビゲーム。



パソコンのスペック依存から脱却を目指した専用機が誕生し、比較的安価な価格設定で販売され、市場が誕生し、競走の中、人気タイトルソフトが次々と生み出され、市場は活発化した。



ニーズが広がるに連れ競争は激化し、競走に勝ち残る為、各企業は高スペックに対応できる専用機の開発が進められ様々な専用機の発売、また専用機それぞれに対応した様々な種類のゲームソフトが発売され、今や全世界で年間数兆円の市場規模となっている。



現在ではその市場範囲は広く、ゲーム機やゲームソフトそのものの売買に留まらず、人気の一流ゲームプレイヤーに資金提供、広告契約などが行われ所謂プロゲーマーと呼ばれる職業が誕生したり、ゲームのプレイ動画の配信により広告収入を得るゲーム実況、ゲームキャラクターのコスチュームを身に纏いモデルとして活動するコスプレイヤー、ゲームソフトのタイトルを原作とした映画化などのメディアミックス等、ゲームコンテンツと他業種が結びつきさらに活発化するなど、テレビゲームに関連する市場、ニーズは多岐に渡り全世界で拡大の一途を辿っている。



産業といっても過言ではない程に成長してしまったテレビゲーム市場。



市場誕生の始まりとなった専用機誕生から70年を迎えたが、歴史を紐解けばテレビゲームというコンテンツを世界に認知させるきっかけがあった。



それは最初のテレビゲーム専用機発売の数ヶ月後に、ある日本企業が発売したゲームソフトによるものだった。



スクウェアクエスト。



今では考えられない程、低ビットの初期のゲーム機において様々な工夫を凝らしビット数の限界に挑戦したロールプレイングゲームであった。



スクウェアクエストは発売と同時に全世界で大ヒットし社会現象を巻き起こした。



ゲームソフトのヒットにともない専用機の販売台数までも押し上げ、その普及率、テレビゲームという存在そのものの認知が広がっていた。



ロールプレイングというゲームジャンルは当時非常に目新しく、ゲーム内の主人公を主観にストーリーが展開されるが、映画や小説などと違い主人公をプレイヤーが操作する事で物語が進んでいく過程が、プレイヤーをゲームに没頭させ、主人公と共に興奮や達成感を得られる事が、多くのプレイヤーを魅力した。



スクウェアクエストは確かに現代の進化したテレビゲームと比べグラフィックも粗く単音の組み合わせで出来たBGMやキャラクターの不自然過ぎる動きやバグの発生度合い等酷い作りだと感じる者も多いだろうがプレイ不可能となった現代でも少数ではあるがスクウェアクエストを愛するプレイヤーはマニアの一部層に点在していた。



そんなスクウェアクエストは発売より70年、発売元はその発売70周年記念として数種類ある現行のゲーム機、PC、およびスマートフォン用のダウンロードコンテンツを作成し無料でインターネット経由で配信することを発表した。



流石に発売当初の様な盛り上がりもなく一部のプレイヤー以外は特に興味を示さず、また、発表した企業側もあくまで周年記念のイベントの一環、一部としての扱い程度で、当然発売当時の様な反響を求めてはいなかった。





しかし企業の予想、いや企業側のみならず全世界全てのプレイヤー誰もが予想していなかった事態に陥る事となる。

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