百合の花 ー24ー
A(依已)
第1話
わたしは教会での出来事を最後に、この町を出た。しかし、旅はまだまだ続いた。
中国の他の地方へも、いくつか行ったし、インドや中近東といった、女性のひとり旅にしては、少々ディープすぎる国へも足を運んだ。
満足がいくまで放浪を味わい尽くし、そして、ようやく旅でお腹いっぱいになった。
日本に、帰国することにした。
親のいない時間帯を見計らって、わたしは家へと帰った。
部屋に着くと、わたしはまたもや目を疑った。部屋に飾られたあの百合は、とっくに花瓶の水が蒸発してしまっているにもかかわらず、見事に咲き誇っているではないか。
「なんで??」
わたしは驚愕で、腰を抜かした。
「ひょっとして、造花だったのかな?」
と思い、茎の先を、ほんの少し切り落としてみた。しかし切り口は、まるで購入したてかのように、とてもみずみずしかった。百合の花の、よい香りがした。黄色い花粉が、たくさん落ちてる。造花などでは、無論ない。
「どういうこと?」
どんなに考えたところで、わたしに答えなど、出るわけもなかった。
わたしは、それ以上考えるのをあきらめた。そして、家に帰って早々、親にろくな説明もせず、また家からこっそりと飛び出したのだ。
百合の花 ー24ー A(依已) @yuka-aei
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