第16話 so this is love?

もう、いくら呼んでも

かすみの声は聞こえなかった。


夕暮れ。


散ってしまった彼女を抱えて

僕は、家に戻った。


丘にあるこの家の

海が見下ろせる庭、そこに立つ


水平線はもう紺青で

空との境が、やや藍に見えた。


空には、星が瞬きはじめ

時が巡る事を告げていた。



僕は、そこに

散ってしまった

かすみ草を埋めた。


これが、僕の愛だったのだろうか?



問いかけてみても、誰も答えない....








僕は、それから

茫洋と日々を過ごした。


フラワー・ショップの

アルバイトにも行かなくなった。


さらさらと、乾いた砂のような

毎日を過ごした

砂が積み重ならないように



いくら月日を過ごしても

そのたびに、崩れて風に舞ってしまうような

そんな日々が過ぎて....

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