第5話 perfume of wonder

3次元的な感覚では表現できないその空間に僕はいた。

ミルクのような空間を満たす混沌、カオティック、とでも言おうか。


気体のような液体のようなものが

辺りを満たしている、そんな気分。


ただ、強い花の香りが漂っている。



そう、それは

百合の香りのようだった。


ある種の百合の香りには

強い神経毒が含有されているので


これを、祈祷の際のドラッグに使う種族もあると

聞いた事があるが、まあどうでもいい。





僕は、そのせいかトリップしてしまった。





微かな、声を聞く。




「.......」



「.......」



「.......」




耳を澄ます。


だが、よく分からない。






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