第350話 さかまゆちゃんの妹

「パティはさ、お仕事、これで終わり?」と、友里絵。


パティ、にっこり。「ハイ」


友里絵は「んじゃさ、あたしたちと一緒にご飯しない?由布院に泊まるんだけど」



パティ「えー、いーんですかーぁ、おじゃまでないかなー。」と、にこにこ。


菜由「パティ、あしたのダイヤは?」


「ハイ。おやすみですー。公休2なので」と、にこにこパティ。



由香「デートとかしないの?」


「ナイナイです」と、にこにこパティ。




友里絵は「じゃ、一緒に来てくれる。一緒に泊まれば?愛紗、大丈夫?」



愛紗は「由布院はふたり部屋だから。1人はゲストで大丈夫。それにパティは

職員だし」



と、詳しい。


菜由は「さーすがツアコン」




パティは、出発時間が近づいて。ワゴンを業務スベースに止めて。

安全確認。


そのうち、車掌補登用試験を受けるのかな?




さかまゆちゃんは「なんか、楽しいですね。お友達いっぱい」

と、にこにこ。

すっきりひとえ、さらっとした和風の、大正ガールみたいなお顔で

にこにこすると、とってもかわいい。



由香は「ともちゃんとさかまゆちゃんって、同じ高校?」


さかまゆちゃんは「ハイ。熊本高校です。」


友里絵は「あ、じゃ、ららちゃんと一緒だ!」と。



さかまゆちゃんは「ららちゃん・・・って、三芳ららちゃんですか?」


友里絵「うん。来るときね。高森線で会ったの。にゃんこが大好きで。

お家にもごまちゃんがいて」



さかまゆちゃんは「じゃ、たぶんそう。妹の友達です。かわいいお名前だから

覚えてました。」


愛紗は「妹さんも熊本高校?」


さかまゆちゃん「ハイ。奈緒美と言います。1年生」


友里絵「わー。なんか楽しいね。でもさ、坂倉家のお父さんは大変だねー。」


さかまゆちゃん「ハイ。煩いから早く出て行けっていいます」



菜由は「ハハハ。でもー、嫁に行ったら泣くな、それは。ふたりもねえ」



愛紗「ほんと。妹さんも可愛いんでしょうね」


さかまゆは「いーえ。ふんわり、もっちりで。お餅みたい」


由香「それはかわいいわ」


ともちゃんは「かわいいですよ」にこにこ。



そのうちに停車時間が過ぎ・・・・車掌さんは笛吹いて。



ホームに「荒城の月」が流れる。



菜由が「ほら、アレシロだよ、友里絵」



友里絵「しろって言われてもなぁ」と。ハハハと、笑う。



折り戸の空気シリンダーに空気が入り・・・「あそ3号」は

豊後竹田駅の、右カーブのホームを出発する。


左手の崖から、お水ちょろちょろ・・・。




友里絵は「ねね、奈緒美ちゃんもバレー部?」


さかまゆちゃん「ハイ。なんか・・・引っ張られたらしいデス。

私がいたので」


菜由「そっかー、じゃさ、国鉄に入ったらバレー部で

X攻撃できるね」と、にこにこ。


さかまゆちゃん「ハイ。時々家でマネしたり、バレーの。

父がうるさい、って怒るけど」



由香「ハハハ。でもお父さんも可愛いから・・・今のうちだよね」



菜由「ホントホント」





ともちゃんは「ウチの父もうるさいっていいますね。あたしが家で楽器吹いてたりすると。」



菜由は「楽器ってそれ?」



ともちゃんはかぶりを振り「いえ、サックスとかフルート。トランペットも吹きます」



友里絵「へー。かっこいいね。フルートはわかるけど。サックスかー。トランペットかー。

かっこいいね。ホント。」


ともちゃんは「もともとフルート志望だったの。中学の頃。でも、あふれちゃって。」



由香「そうそう。みんな好きだもん、あの楽器」



友里絵「なんだろね」


愛紗「なんか、お嬢さんっぽいものね。見た感じ。可憐だし。」



ともちゃん「そうでもないんですけどね。息が垂れるし、ぽたぽた。冬とか。



菜由は「まあ、女の子の息ならさ・・・。」



友里絵「ひっひっひ・・・おじょーさんのヨダレ・・?」ヘン顔。



ともちゃんは「いやっだー」と、笑う。


みんなも。


友里絵は思う。まゆまゆちゃん、どうしてるかな・・・・。






まゆまゆちゃんは、下り特急「あそ」5号で検札業務のお手伝い。


専務車掌さんは、グリーン車から前、

まゆまゆちゃんが後ろ2両。


指定席1、自由席1。


指定席は結構メンドい(^^;


席番は、今は携帯端末で出るのだけど

旧式なので、液晶画面でちょっと見づらい。


スマートフォンのような、カラー表示にならないかなぁ、なんて思ったり。


どこの席が売れてるか。確認だけれども・・・。

空席がある時、そっちで座る人も居たりする。


2人掛けシートで、知らない同士が並んだ時。


空いていれば、そちらに移りたい、なんて・・・希望もあるけど。



そういう時は、「車内ではできかねます」と、やわらかに言わないとならない。

結構、言い方とか緊張したりする。



別に、空席に座っていても、そこの券を持った人が来なければ

問題ないのだけども、便宜上。



そういう時、空いている席が確認できるの便利だ。



今日は木曜、午後なので・・・空いているから

そんなに気にしないでいい。


そういう人は、自由席に行ってしまうからだった。



仕事のことを考えていると、お兄ちゃんの縁談(?)のこととか

考えなくて良くて。


それは、それでいいことだったり。



下り「あそ5号」は、そろそろ八代だ・・・。




球磨川沿いの線路から、すこし開けた平野へと下った・・。






EF81-137の運転台で、お兄ちゃんは24系25形ブルートレイン編成、15両を

率いていた。


電源車1両、客車14両。



人が乗って居ないと軽い。ただ、密着連結器なので

一体で動くから、動き出しと止める時は重く感じる。


「独特」だと感じる、お兄ちゃんだった。



EF81も、普段のED76と似ているようで結構違う。

軽快な感じ。


不思議なものだと思ったり・・・。



本線、進行・・! 速度、95!


少し、指示速度が下がった・・・。






恵は・・・・部屋に戻って、また寝た(^^)。

寝る子は育つ。


ぐおー・・・・・・・。(^^;・・・・・。

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