第343話 リッチモンドのパン

急行「球磨川2号」の恵は・・・。のーんびりしていると・・。

また眠くなる。


なにしろ、普段は・・・時間が不規則だし。

車掌は接客業なので、疲れる。一日立ってるし。


ボックスシート、温かいし、木曜の上り。

乗る人は地元の、概ねおばあちゃん。


安心して眠れる。



通りかかる裕子。



「また、寝てるか・・・。」にっこり。


黒いスーツ。

丸い帽子はちょっと可愛いのだけど、スラッとした裕子が被ると

なかなか、かっこいい。

金のライン。国鉄マーク。


赤い腕章。「車掌 TRAIN CONDUCTOR」


急行だからひとり乗務。それは誇りでもある。


熊本車掌区

  板倉


と、シンプルな名札。

背が高いので、ペタンコの靴でも

十分かっこいい。


音のしないゴム底の靴が好きである。



「ま、寝かせとくか」と・・・・。


最後尾、車掌室に向かった。






友里絵たちは、宮地駅前の小さなパン屋さん「リッチモンド」に入って。




お店は、のどかな感じ。


朗らかなおばさん「いらっしゃいませ」と、にこにこ。



「こんにちはー、どーれにしよーかなっ」と、友里絵。


プラスチックのお盆に乗せて、会計をする

都会の焼きたてパンのお店と同じ。



バゲッドに、レタスとハンバーグ・サンド。

やきそばパン。



由香が「高校ん時、人気だったねー。やきそばパン」


友里絵「そうそう。12時になると鉄腕ダッシュ!」


菜由「ハハハ。無人島に線路引きそう」


愛紗「私は、お弁当だったけど・・・なんか、男の子がそうしてたね」



友里絵「あたしも弁当だったな」


由香「そうだっけ?ああ、友里絵好きだもんね、料理」




ベーグル、チーズ入り。これも美味しそう。


ふわふわのイギリスパン。



フランスパン。



コロッケパン。


メンチパン。



「そうそう、メンチのこの、甘いソースがね。不思議に美味しい」と、由香。



友里絵「あたしは、辛い方が好き」



由香「そっか」(^^)。



奥の方がカフェになっていて。そこで食べても行けるけど・・・・。


愛紗「列車が12時35分だと、慌しいから。持って行こう。

坂倉さんたちもお買い物するんだろうし」


菜由「そだね」



そこに、さかまゆちゃん、ともちゃん。

ぱたぱた・・・走ってきて。



さっきの、「あそBOY」の衣装じゃなくて。

さかまゆちゃんは、かわいいワンポイントのお花柄のブラウスに

長いスカートは緑のプリーツ。


ともちゃんは、ニットのワンピース。横縞で、白、淡い青。



友里絵「あ、私服でいいんだ」



さかまゆちゃん「はい。添乗で制服だと、乗務員と間違えられるので」


由香「テンガロンハットとジーンズでいいのに」



ともちゃんは「あれは、ちょとハズカシ」と、にっこり。



菜由「そうだねー。バスガイドの制服もちょっと、バスのそばでないと恥ずかしいかも」



友里絵「あたしは別に平気」



由香「あんたは神経ないから」


ハハハと、みんな笑う。


「そんなこと」と、さかまゆちゃん。

「かわいいですよ」と、ともちゃん。



友里絵は「やさしーなぁ、ありがと」と。にこにこ。



けっこういっぱいパン買って。


友里絵は、ベーコンエピ、チーズベーグル。クロワッサン。

由香、やきそばパン、コロッケパン。明太フランス。

菜由、イギリスパン。メンチカツロール。

愛紗、ライ麦パン、クロワッサン・サンド。

さかまゆちゃん、サンドイッチ。

ともちゃん、ペーコンチーズパン。



「なんか、飲み物も買っていこうか」と、菜由。



友里絵「阿蘇牛乳あるね」と、四角い小さいパックを見つけて。


由香「大きいのもある」と、1リッターパックも。



友里絵「さすがにそんなに飲めないなぁ」(^^)。




友里絵「阿蘇牛乳、あったっけ。湯前の駅」



愛紗も思い出す。静かな湯前線終点。駅前の牛乳屋さんにあった

自動販売機。




由香「あ、あったねー。まゆまゆちゃんと最初にあった日」



さかまゆちゃん「まゆまゆと一緒に行ったんですか?湯前」


友里絵「ハイ。なんか、めーわくだったかな」



そのうちに、駅前に・・高校生たちがぱらぱらと。



近くに高校があるらしい。



お店に入ってくると、6人だけでお邪魔だから・・・(^^)


お店を出た。





駅は、良く見ると神社みたいなお屋根。



「阿蘇神社のイメージかな」と、愛紗。



友里絵「近くにあるの?」


菜由「いく?」


由香「またにしましょ」


友里絵は「股?」と言うギャグを言おうと思ったが・・・また同じギャグだから。

黙った。 「うう・・・スランプじゃー」



由香は意味わからず「?」





菜由は「あ、列車が35分だと・・・あと、30分ないね」



愛紗は「じゃ、入ってようか」



さかまゆちゃん「そうですね」



割と、さっさと大きく歩くタイプ。



ともちゃんは、けっこう、ちょこちょこ歩く子。

すらっとスリムなのに、なんか、かわいい。




友里絵が「ワンピース、かわいいね」


ともちゃん、にっこり。

黒目が大きくて、なんか、とってもキュート。


「夢があって好きなんです」と、ワンピースを。




改札で、駅員さんに周遊券を見せて。


駅員さんは「おー、東京!遠くからどうも」と、敬礼。にこにこ。


愛紗の周遊券は東京発になっている。

本社研修から、そのまま来たから。


そのことをちょっと思い出して、愛紗は・・・帰ったあとのことを想像したり。


・・・どうしようかな、ホント。



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