第331話 高いトコ好きな友里絵ちゃん

友里絵は「お兄ちゃんの写真も送って」と書いた。


「へっへへ」と、得意顔。

お鼻を、ひとさし指ですりすり。




由香「なんだ、キモイ」と、からかう。

指でつっつく。




友里絵は「これで・・・愛紗のウェディング写真も作れるじゃん」

と、ケータイをもって。




菜由「技術有るなぁ」と。



友里絵「うん、コンビニにいるころ、タマちゃんに教わった」


由香「ああ、あの・・・犬の美容院ごっこをした時?」



愛紗「ごっこ?」




友里絵「あ、言わなかったっけ?学校が休みの時に、団地の公会堂で。

資格あるから、あたし。ごっこ、したのね。学校から機材もってきて。

その時にポスターを作ったの」



愛紗は、なんとなく思う。

お店ごっこをして・・・。


友里絵の夢は「好きな人をお店をすること」だったから。



かわいい子。



そう思う。





由香は「写真作ってどーすんの」


友里絵は「この人と結婚しましたー!」って。

歯を出して笑う。ウマかいな。(^^)。


菜由は「そんなのバレるよ」



友里絵「そうかなあ」


かたこん、かたこん・・・・。

坂道を下る、高森線ディーゼル・カー。



♪おてもやーん♪


の、伸びたテープの音が、なんとも、ローカルでかわいい(^^)。



ーー間もなく、終点、立野ですーーー


と、にこやかな声の女の人のアナウンス。


来るとき見れなかった、高い鉄橋の谷川・・を。

ゆっくり見れた。



「ひぇえー、高い」と、由香。


「おー!」と、友里絵。「高いの好き」と、座席から腰を上げて、覗き込む。



由香「バカとケムリは高いトコが好き」(^ー^)



「ネコかな、やっぱ」と、友里絵。




由香「バカネコだろ」



友里絵「バカで結構。うまいもんはうまいんだ」



菜由「これはまた、ローカルな・・・。」



愛紗「なんだっけ、お味噌汁のCM」



友里絵「そうそう、バカの三杯汁って、でもさー、CMの味噌汁。

ほんのちょっとしか入ってないんだもん、あれじゃ30杯は行けるよ」



由香「ウルトラバカだ」(^^)。



友里絵「ピー」と、額に両手、人差し指2本。


由香「エメリューム光線!来たな! 、ピー」と、手を十字に。



菜由「ウルトラマン対セブンか」


愛紗「そんなのあったっけ?」



友里絵「さあ」



がごーん、がごーん・・・と、鉄橋を渡ると短いトンネル。


潜ると、立野である。



運転手さんがマイクで「間もなく、立野です。お降りの方は

お忘れ物、落し物なきよう」


と、きっちりした案内。


「乗り継ぎのご案内。次の上り、阿蘇方面は11時05分、SLあそBOY,宮地ゆきです。

尚、指定席券が必要です。」



友里絵「あ!SL!乗ろう!乗ろう!」と、にこにこ。ぴょんぴょん。


由香「本物は初めてだね」


愛紗「取ってあるから、指定券」


菜由「さーすが、ツアコン。」



しゅー、しゅ、しゅー。

機械ブレーキを掛けて、ディーゼルカーは停まる。



運転手さんは「高森線も、日曜はトロッコ列車が走るんじゃ」



友里絵は「乗りたいナー」


由香「まただな」


友里絵「股?」


由香「オマエはすぐそっちいくなぁ、一週間干からびてるからなぁ」



友里絵「ハハハ、たまには濡らさないと」



愛紗「・・・・・」他人のふり、他人のふり(^^;



菜由「雨降ったじゃん」



由香「上手く誤魔化したなー、さすがはBBA」



菜由「おのれ!」と、言うまでもなく・・・。


由香は開いたドアから逃げた(笑)。





高森線ホームから駆け出して、スロープを降りて

豊肥本線ホームへ。


まだ、SLは来ない。



菜由が追っかけてきて「このやろ!お前らはー」


由香の首根っこを捕まえて。



由香は笑って、勘弁勘弁、と。



愛紗は、立野の駅員さんに予約番号を伝えて・・・指定券を発券。


なんと、手書きである。


緑の紙に手書き。「なつかしいな」と、言って愛紗は、それを見た。



コンピュータが無いので、鉄道電話で熊本駅に聞いた、らしい。



駅員さん、にこにこ「古い駅じゃきんのー」


もう、半袖。



日焼けした顔、がっしりした体型。


いかにも、薩摩の人。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る