第291話 ふんにゃ

お店を出て、5人は・・・「折角だから、熊本城見ようか」と、菜由。


そだね、と由香。お城の石垣を見ながら、並木沿いの舗道を歩いている。


友里絵が「あ、毛虫!」と、指差して。


由香が「え、毛虫、どこどこ・・・と、上見て」


友里絵は「う・そ」(^^;


由香は「テメー、このやろ」と、小石を拾って。友里絵に投げる。


友里絵、避ける「へっへー、アテテミロ」


菜由は「ふつー逃げないか?」


由香は「だって、毛虫くらいじゃね」


真由美ちゃんは「居ますね、結構。大きいの」田舎の子は、平気(^^)。

両手で、20cmくらいの大きさを示す。



愛紗も「いるわね。そういうの。南の方は。」



菜由は「そういえばさ、お兄ちゃん明け公休の後は、夜勤じゃないの?」


真由美ちゃんは「今日の夕方で

勤務解放だったら、明日の夕方+8時間が休日になります。

つまり、明後日の朝からでないと勤務できないです。

夜勤をするなら、その後ですね」



友里絵「いいなぁ。やっぱ国鉄にしようよ、愛紗」




愛紗は「そうね、それ聞くと、そう思う」


バスも昔はそうだったのだが、人手不足で

A勤務+日勤、またはB勤務+日勤なんてのが当たり前になっていた。

(現在は、13時間勤務努力義務だが、路線のみである。)。



5人は、並木道と道路を渡って、玉砂利が敷いてある熊本城の中庭に入った。


入り口は、門がついている。

大きなお城の割りに、狭い。


井戸、のようなものがあり、蓋がしてある。



友里絵はその蓋を持って、中を見て「暗いねー」


由香は「そりゃそうだよ」


菜由は、看板を見て「なになに・・・・。これが、秘密のトンネルなんだって」


「大脱走!」と、友里絵は、トンネルを掘る仕草。


クワイ川マーチを口ずさむ。けど。


由香が「あ、それ!族がつけてたじゃん。バイクに。パラパラパラって」



友里絵が「オマエの発想は低俗だなー」


由香は「オマエに言われたくないわ」


菜由は「新しいパターンだな。これ」


愛紗は「大脱走って、マックイーンでしょ?」



友里絵「さすが。お嬢様組。違うねー言う事が。

かたや、暴走族のミュージックホーンだろ。

発想がなー。貧民」



由香「オマエもな」



友里絵「ははは」



真由美ちゃんは「・・・??」なんだかわからない。

どっちも知らないの。



菜由が「あ、映画にあったのね。ふるーい。大脱走って言う。

戦争の時の、捕虜が、トンネル掘って逃げるわけ。スティーブ・マックイーンって言う

スターが。」


真由美ちゃんは「あ!思い出しました。」



菜由は「それでね、由香が連想したのは・・・そのテーマ曲のメロディが出る

車のクラクションをね。付けるのが流行ったわけ。湘南の暴走族とかに」



由香「箱スカとかね、430とか」


真由美ちゃん「また、わからない単語」(^^;



友里絵「おにーちゃんに聞けば?」


真由美ちゃん「そうですね。おにーちゃんならよく知ってます!」



菜由は「明日はお兄ちゃんと一緒だもんね」


真由美ちゃんは、嬉しそうに「はい!」と、にこにこ。


愛紗は「お兄ちゃんのお話するとき、嬉しそうね」


真由美ちゃんは「そうですか?」と、ちょっと恥ずかしげに。



由香が「友里絵はお兄ちゃん代わりか」


友里絵は「あたし女だよ」


菜由は「言わなくてもわかるわい」


由香は「オマエなんか女じゃない!男だ!トミ子ー!」


友里絵は、ミミ動かす。


菜由「噂の刑事か」


愛紗「懐かしいなぁ。再放送してたね。夕方」





5人は、熊本城の入り口まで来たけれど、お金かかるので

止めて(^^)。


見てないのは友里絵と由香だけだったから。


また、玉砂利の中庭を、じゃくじゃく、歩く。



友里絵「死刑!」と、お尻突き出して。

こまわり君の顔マネ。


真由美ちゃんは「似てる似てるー」と。




菜由「がきデカか。いちおー・・・・刑事もの、なのか?」(^^;


真由美ちゃんは「そういえば・・友里絵さんって、こまわり君タイプかも」


由香は「はははは!確かに。ハチャメチャだし」


愛紗も「おそらく」


友里絵は「ははは」


菜由は「笑ってていいのか?」



友里絵は、おでこに手をあてて。「うちのカミさんがねぇ・・・」


由香「コロンボか」


友里絵は、足もとの凹みに引っかかるふりで、転ぶ。


由香「コロンダ」


真由美ちゃんは、楽しそうにくすくす。



電停のところまで来て。


愛紗は「じゃ、水前寺公園でも見ていこうか」


友里絵は「チーターぁ・・・!!」と、左手を伸ばして。

髪の毛を分けて。


「♪ぼろんわきーててーもーぉー・・・・ふんにゃ♪」


由香は「あ、水前寺か。でもいないよ」



菜由は「なはは」


真由美ちゃんは、まだ笑っている。



丁度、路面電車が来たので、乗る事にした。


坂道を登って・・・・少し行って、右に曲がって。

ビル街から少し離れて。




さっきの、FM放送局のスタジオが見える。

なにか、楽しそうにお話をしている。


午後2時半。

そろそろ、子供たちが学校から帰る時間で

黄色い帽子の小学生たちが、はしゃいで帰る姿が

路面電車の車窓からも見えたりもする。


結構な都会なのだけど、割と長閑な感じ。


友里絵は「真由美ちゃんは中学のころ、セーラー服だったの?」


真由美ちゃんは「はい。夏は白いのです。」


由香は「かわいかったろね」


真由美ちゃんは「いえ、そんな・・・に。髪をふたつに纏めてて」


菜由は「その頃から茶色っぽかったの?」


真由美ちゃんは「はい。割と・・細くて。そういう感じで。」


友里絵は「くるくるパーマにして。長いスカートで」



真由美ちゃん「いえいえ・・・そういうまんがみたいな人は

人吉にはいなかったです」



由香「マンガなんだ。へー。大岡山にはいたけど。」


由香「高校に入ってからじゃない?」



友里絵は「こんな風にしゃがんで」と、路面電車で

暴走族ふうにしゃがんだら。


電車が揺れて。ころりん。


「あー、いてぇ」



由香は「ははは」


真由美ちゃんは「大丈夫ですか?」でも、楽しそう。


菜由は「アホじゃのー。」と、呆れた顔。



水前寺の電停は、公園の前なので・・・。ただ、またもや道路の真ん中だから

渡るのが怖い。ちょっと。



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