第289話 中華三昧

「卵が揚げてあるのがユニークぅ」と、友里絵は

お箸でつまんで。


由香は「二つ取るなよ」


友里絵は「わーってるって。」


真由美ちゃんは「お箸で取り易くなってるのかな」

と。割り箸でつまんで。


菜由は「そうかもね」と、白菜を食べながら。

しゃきしゃき。いい音。


愛紗は、春雨をつるつる。


「美人ウエイトレスさんと、お友達なのかな」



友里絵は「違うみたい。でも、お友達は一杯いるみたいよ。

熊本にも。肥後大津にもって。」と、おつゆを、れんげで。


「あ、そうそう。そのウエイトレスさんは、おかーさんが一目ぼれで。」



菜由「へー。お母さんと一緒なんだ」



友里絵は「そう。お母さんが旅好きなんだって。それで、行きたいところに

行ってあげるんだって。」



真由美ちゃんは「優しい方なんですね」




由香は「そうみたいね。お母さんだけじゃなくて、みんなに。」



友里絵は「太平燕ってさ、燕の巣だったのかな、元々」


由香「だーったらさ、相当高級料理だ」と。味わいながら・・と言うか

さらさらと食べている。


「割と濃厚だね」




愛紗は「その割に、さっぱり感」と、きくらげをつまんで。




真由美ちゃんは「燕の巣、取られちゃったらかわいそうですものね」



友里絵は「優しいなぁ。」と、にこにこ。



真由美ちゃんは「えへ」と、にっこり。



そのうちに、小籠包、茹で餃子、麻婆豆腐、春巻と。


いっぱい。



愛紗は「食べ切れるかしら」と、ちょっと不安顔。



由香は「大丈夫大丈夫。友里絵が食うって、余ったら」



友里絵は「ハイ!余ったらね」と、回転台に乗ったお料理を。


小籠包をひょい。「このねー。おつゆがいいのね」と。

中にある、おつゆが出ないようにと。

小さなおわんで食べている。

「こぼれちゃうのね、どうしても」


菜由は「肉まんみたいね」と。


友里絵は「あ、食べてねー。取り皿は人数分あるからー。」と。

こういう中華は、ふつー、そう。



真由美ちゃんは、慣れているのか

ちょこっと食べて。「おつゆ、熱いですから気をつけて下さいね」


由香は「よく来るの?」



真由美ちゃんは「たまーに、かな。お兄ちゃんが熊本でお休みの時に

たまたま私が熊本でA勤務の終わり、なんて時に」



菜由は「優しいお兄ちゃんだね」と、にこにこ。



真由美ちゃんは「はい」と、にっこり。



友里絵は「お兄ちゃんも国鉄だとさ、鉄道電話で話したりして」


真由美ちゃん「それはないですね。携帯電話ありますから」




由香「鉄道電話?」


友里絵「あるじゃん、踏み切りの警報機の横に、黒い箱があって。

「電話」って書いてあって。

開けると、電話が入ってて。」と、春巻きを一つまみ。


ぱりぱり。「うーん、おいひー。あつあつ」



由香は「それで聞こえたの?」と、茹で餃子を取ろうとするけれど

つるつる滑る。

「あ、これ、このやろ」と、お箸で追っかけて。(^^)。



友里絵「あー、もしもしー、あれ?だれもデンワ」と、受話器を持つマネ。


菜由「ははは、言うと思った」



真由美ちゃんは「ハンドル回すと出ると思います」と。太平燕をきれいに食べて。



菜由は「へー、そうなんだ。村の電話みたい」



愛紗「あったね。交換手さんがつないでくれるの。村内だけ。村の外は

頼むのね。「北郷おねがいしまーす」とか」と。

にこにこ。麻婆豆腐を取り分けて。

「冷めないうちに」

と、みんなに。



由香「愛紗は優しいなー。すこし見習え、友里絵!勝手に食い散らかしおって。

懺悔じゃ」と、×印を、両手で。



友里絵「それ、懐かしいね。お湯が落ちてくるの」



真由美ちゃん「あー、見てました。たまーに、たらいが落ちてきて。痛そーって。」

にこにこ。



菜由は「たらいは痛いよねー。いい音しただろね」と。麻婆豆腐を頂きます、と。

小鉢で。



友里絵は「学校の給食で麻婆豆腐、作ったら。

1000丁くらいいるだろね」と。



由香「もっと要るんじゃない」



友里絵は、いたずらっぽく「じゃ、10倍だと幾つ?はい。日生さん!」



愛紗は「え、あたし・・・?一万丁」



友里絵は「一_万丁」?



由香は「アホ」と、友里絵をしばく。


真由美ちゃんもくすくす。

何がネタなんだか、分かっていない(^^)。



そうそう、地方によって呼び名も違うから。



菜由は「お兄ちゃん、今日の勤務解放は鹿児島?」


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