第211話 美人バスガイド

友里絵は、お風呂で泳ごうとするので


由香が「やーめろって。中学生かい、キミは」


「でも、修学旅行でみんなやってたね」と、友里絵。



「男の子かい」と、菜由。



「男湯、みたなー。」と、友里絵。



菜由は「見てないって、そんなもの」




「そんなものって、どんなもの」と、友里絵。


にこにこ。



「その手に乗るかい」と、菜由。



「つまんないなー。やっぱ愛紗がいいなー。」と、友里絵。


由香「おもちゃにするなって。だからガイド辞めるって。」


愛紗は「そうじゃないよ。友里絵ちゃんのは楽しいよ。」



友里絵「ああ、赤木とか?あれはねー。タマちゃんを怖れてるから大丈夫だよ。」



愛紗「深町さんを?」



由香「そう。岩市が首になったのも、タマちゃんのお手柄だって

みんな言ってるから。」



菜由「ああ、警察が捜査に来たって言う?」




愛紗「そうなんだ・・・それで、新人ガイドはみんな、深町さんをボディー・ガードにって

思ってたのかな。」



友里絵「まあ、タマちゃんはあたしのものだけどさ」



由香「それだけじゃないとは思うけど・・・ね。ヘンな奴なら

そんなに甘えたりしないでしょ。」



菜由「そりゃそうね。でも、どうやって首にしたんだろ」


由香「さあ。岩市って裏社会に顔が利くから、会社も用心棒にしてたみたいね。

それをいい事に、やりたい放題だった。

だってあの岩市って、別の営業所に居る時にガイドと出来ちゃって。

入籍してないんだって。今も。」



友里絵「それはまあ、あるかもね。裏の人間だったら危ないじゃん。結婚したりすると。

奥さんが狙われる」



由香「あーそっか。タマちゃんもそれでひとりなのかな」



菜由「あの人は表の人でしょ。」




由香「そうなんだけどさ、あの落ち着きは普通じゃないよ。営業所にクレーマーが来た時も


さ・・・・土下座しろって言われて、笑顔で


「これでいいですか?」って。


それでクレーマーはやる気なくして。帰ったって。

「こいつは全然堪えてない」って。



その背中に「東山急行をよろしく」って。笑顔で見送った」



菜由「ああ、それで野田さんが

『あれは人間じゃない』って。」




由香は「ほんとは何者なんだろね、あの人。にこにこしてるけど。」



友里絵「さあ・・・そういう事ないよ。別に。かわいーもん。」






愛紗は思う。確かに、それなら・・・ボディガードにはなるだろうな、とも。







友里絵は「ねね、でもさ、イッシーちゃんの骨、どうなったかな?」



由香「まだでしょ。いくらなんだって。」



友里絵「新聞によりますとー、池田湖でイッシーの骨を発見した

美人バスガイドの藤野友里絵さん(20)は・・・・」



由香「誰が美人なんだよ」



友里絵「♪ちゃっちゃらっちゃらっちゃー♪」


菜由「ウィークエンダーかい。」


由香「堪えんやっちゃなぁ。タマちゃんと同じか」



愛紗は「なんとなく似てるって思ってた。友里絵ちゃんと深町さん。」



友里絵「そう?ふたりは赤い糸で結ばれてるんだわ」



由香「似あわねー。ぷぷ」と、笑う。



友里絵「うるさいなぁ。愛紗が言えば似合う?、言ってみて?」



愛紗「言えないよ、そんな恥ずかしい事」



菜由「オトメはいえないよね。」



由香「まあ、厚かましい友里絵なら言えるな。わはは。」



友里絵「厚かましくて悪かったな。」



由香「まあまあ、あんたの親友じゃん」




菜由「さあ、ごはんかな、ぼちぼち」




「きょうもあのパスタ、食べたいナー。」と、友里絵。

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