第154話 12D,久留米定着!

「あいしゃはさーぁ、制服が好きなんでしょ?」と、友里絵。


「その言い方は、なんか危ないなぁ」と、由香。


「だったらさ、コスプレパブとか」と、友里絵。



愛紗は、そのコスプレパブってなんだか解らない(笑)。



菜由は「ははは。そういう店は知らないよ、わたしら」



友里絵は「まあ、あたしらも行った事はないけど」



「あったらマズイよ」と、由香。




「どして?」と、友里絵は本当にわからない。



「あたしらは、今は本物のガイドじゃん。一流企業のさ」と、由香。



菜由は笑って「そうそう。本物が居ると、人気出るかもね。」




「今はどっちかって言うとJKリフレとか」と、友里絵。


「ああ、あの・・なんか、添い寝するってやつ?」と、由香。



「タマちゃんも池袋でチラシ貰ったって言ってたっけ」と、友里絵。




「ああ、なんか解るな。コスプレの女の子だって、ヘンなおじさんより

ああいう人の方が楽しいだろうし」と、由香。




「池袋で何してたの?」と、愛紗。




「うん、仕事だって」と、友里絵。




「東大だけじゃないのか」と、由香。




「そうみたいよ。なんか。フリーだから。」と、友里絵。




菜由は「なんか、すごいよね。仕事ないってみんな言ってる時代なのに」



愛紗も「そうね。わたしだって。」



友里絵は「愛紗はさ、失業者じゃないじゃん。今もバスガイドに

戻ろうとすれば出来るけど、ドライバーをやりたいって思って」




愛紗は「そっか。別に、ガイドが嫌になった訳でもないんだけど

バスを動かすのも面白いな、って思ってた」



由香は「うん。大岡山もね、ガイドは契約社員にしようって話になってる

らしくて。あたしらは正社員で入ったけど、でも観光ってさ、歩合じゃない?」




菜由は「そうだよね。それはドライバーも一緒だけど」



友里絵は「それで、あたしらはドライバーになろうか、って言ってた訳」



菜由は「野田さんはなんていってるの?」



由香は「おまえらくらい柄が悪ければ大丈夫だ」



「ははは。良かったなぁ」と、友里絵。



「喜んでいいのか?」と、由香。



菜由も笑う。




友里絵は「由香は喧嘩も強いもんね」



愛紗は「ほんと?」



由香は「いちおー。合気道2段だし。」



友里絵は「そー。由香によく守ってもらったもん」




菜由は「お巡りさんになれるね」


由香は「都知事と同じ、青島です」



友里絵は「古いぞ、それ。まあ、ホントに青島由香だけどさ」



由香は「ダメダメ。ブラックリストに載ってるようなあたしが、刑事なんて


愛紗だったらお巡りさんの制服、似合うかも」



愛紗は「あたし?」




「ミニスカポリスね。ファンができちゃったりして。

逮捕してー。婦警さん」と、友里絵は楽しそう。




由香は「どうもキミの発想はそっち系だなぁ。

逮捕されるぞ、ホントに」



「ちゅうしゃ違反よ、婦警さん」と、友里絵。



「アブナイなぁ。人が居るんだから。ばか」と、由香。



少し離れたボックスの若い女の子たちが、楽しそうにくすくす。




「あ、ごめんねーうるさくて。もう降りるから」と、友里絵。




「そうだよ!降りるんだよ。バカ話ししてる暇ない」と由香が言うと




「あんたが乗せるんだよ」と、友里絵は

お弁当を丁寧に仕舞って。さっきの袋に。


「愛紗のも、菜由のも」と、手早く片付けた。



「そういうところはしっかりしてるなあ」と、由香。


「っへへへ」と、友里絵は嬉しそう。




「ゆふいんの森」は、気づくと少し速度が落ちてきたようだ。



久留米駅はもう、すぐ。






かたかたん、かたかたん・・・。


線路の分岐する、ポイントを車輪が渡る音がして。








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