第2週忌
ズブズブ、ズブズブと、耳に残り続ける何度も何度も自分の身体を刺され続ける音。。。彼女は決して痛みが無いわけでは無い、痛みに殊更強いわけでも無い。その少女はただ、それよりも辛い経験を積んでいる。。。
だから痛みに泣くことも呻く事もせず、ただただジッと色々な光景を十分に焼き付けて真っ赤に染まった視界を閉じ、自らに終わりが訪れるのを待っている。
いっそ奥歯に毒薬でも仕込んで、即死出来れば良いのに。。。と溜め息すら出そうなほど退屈に、
そして次に目を開けると、少女は見知らぬ門の前に立っていた。
「。。。超技研」
いや正確には、少女はこの場所を知ってはいる。
超常技術研究所。表向きは
超能力。遥か以前よりオカルトとして情報統制されてきたその事象は確かに存在し、能力者達は各国において極秘裏に管理、研究、運用をされている。
しかし今は、そんな事実など些事である。
少女はこの日この瞬間、初めてこの研究所を訪れたのだが。ある程度の間取りや職員、収容されている者達の情報を知っている。書類等の知識では無く、およそ七日間の
「あぁ、皆さん。昼食の前に、皆さんに新しい仲間を紹介します。さぁ、入って来て自己紹介を」
「はい。。。えっと、し、四宮」
「七々実!?」
「。。。お姉、ちゃん?香澄お姉ちゃん!!!」
そしてこの時、食堂での自己紹介に際して四年ぶりに再会したお姉ちゃんに涙ながら力いっぱい抱き締められることも知っている。少女がここまででただ一つ知らなかったのは、姉妹が感動の再会に抱き合う姿を強い殺意にも等しい嫉妬を込めて睨んでいる視線が在った、という事だけである。
「香〜澄♪で、その背中に隠れてる可愛子ちゃんは誰なの?ま、まさか!!!む、
「もう。変な
「あぁ!義理の!」
「実のだよ!!!」
「嘘だぁ〜!姉妹要素皆無じゃん?♪」
「モォ〜〜〜〜〜!どうせ妹の方が可愛いよ!四年ぶりに会って私も可愛さに驚いたけども!昔から薄々は自覚してたけども〜!」
「うそうそ、ゴメンゴメン。香澄もとっても可愛いぞ♡わぁ〜!だからゴメンてば♪。。。えっと、七々実ちゃん?
私は
そして四宮七々実は、このお姉さんの一見は優しかった笑顔が
今からおよそ七日後、この太刀裂詩音の手に由って大好きな姉が惨殺される事も知っている。
痴情の絡れ。。。
おそらく大まかな
したがって、七々実が四宮
「。。。ちゃん、お姉ちゃん」
「ぅん。。。七々実ちゃん、どうしたの?」
「あ、詩音お姉さん。。。起こしてごめんなさい」
「ハハ、七々実ちゃんは堅いなぁ。私もお姉ちゃんでいいんだゾ?で、こんな夜中にどうしたの?」
「あの。。。香澄お姉ちゃんが、起きてくれなくて。。。。。」
「もしかして、おトイレ?」
「。。。(コク)」
「ハハハ♪しゃぁ無い。。。今宵はこの詩音お姉ちゃんと連れションに洒落込みましょうか、お嬢様?それに香澄のヤツ熟睡するとさ、こうやって鼻摘んでも。。。。。。。。。。全然起きないんだ。だから、これからも夜怖い時は私に言いな♪」
「はぃ。。。あ、ありがとう、ございます」
「良いってことよ♪」
「。。。。。プハッ!!!ぅぅん、もう飲めないよ七々実ちゃん。。。ZZZ」
「て、オイ!!!お前は一体、ナニ飲んでんだよ!」
「フフフ♪」
「ハハハ♪さ、眠れる森の変態はほっといてさっさと行こうか」
************
「そうだ、せっかくだから七々実ちゃんに良いモノ見せたげる♪」
「良いモノ。。。?」
トイレの帰り、未だ狂気の片鱗しか覗かせてはいない詩音に手を引かれ二人が向かうのは、A棟とB棟の5階部分を繋ぐ渡り廊下。横壁も天井も無く、胸辺りまでの鉄柵だけの吹き抜けなその場所で詩音が見せてくれる良いモノとは、夜空に拡がる満天の星空のことである。
「うわぁぁぁ♪詩音さん詩音さん!スゴいです♪星がこんなに!」
「ハハハ、やっぱり本物の姉妹なんだな。香澄と反応が全く同じだ。。。」
太刀裂詩音はそう言いながら見慣れた夜空の星を見上げようと、はしゃぐ七々実の直ぐ横の鉄柵に背を凭れる。。。そしてソレは、一週目に
「詩音!詩音!!!なんで。。。どうしてよ!ずっと一緒だって、そう言ってくれたじゃない!!!なのに!なのに。。。イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」
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