あなたの部屋にもいるかもね
ヒナタジャンクション
第1話 プロローグ
僕は今、1枚のカレンダーになっている。そのままの意味…で終わらせるには味気ないので、なんとかひねりの効いた分かりやすい答えを言いたいところだが、やはり無理がある。僕はカレンダーなのだ。ええ、本日は2021年、2月25日木曜日、晴天なり…僕のカレンダーには、可愛らしい茶色い子猫の写真が使われている。
なぜカレンダーになれるのかはよく分からない。なろうと思えば何にでもなれるのだ。スマホ、テレビ、ベッドに机…観葉植物になったこともある。ちなみに、カレンダーとして壁にかかっている僕は、今はとある男子高校生の部屋にいる。3LDKのマンションの、6畳ほどの乱雑とした部屋だ。なぜ男子高校生の部屋にいるのかというと、それもまた答えに迷うのだ。ただ、人間観察が好きなだけで、よこしまな考えなんて何一つない。
僕は先ほどまで人間の姿で散歩をしていて、たまたま目についたマンションがなんだか気に入った。マンションは好きだ。どの部屋も同じような内見と構造なのに、住む人次第で大きく印象が変わって面白いからだ。陽だまりにたたずむ庶民的な姿も見応えがある。
…おっと?まだ12時にもなっていないのに、例の高校生が帰ってきたみたいだぞ?
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